第74話 エルフは見た目よりも若いよね

「えっと......すみません。お邪魔でしたでしょうか」

 ウェイトレスは申し訳なさそうな顔をしている。

 ものすごくいいタイミングで来てたもんね......

「こっちから呼ぶからあんたは下がってなさい!」

「はい! すみませんでした!」

 シオンが偉そうにウェイトレスに命令するとウェイトレスは敬礼をして厨房へ戻っていった。

「何でシオンはあんなに偉そうなの?」

 私はミリムに不思議に思い尋ねてみた。

「シオンはわしよりも年上じゃから人間なんて子供にしか見えんのじゃろう」

「へぇ。そうなんだ。何歳なの?」

「シオンはな実は......へぶっ!」

 ミリムの頭にシオンのチョップが炸裂していた。

「な、何をするのじゃ!」

 ミリムはシオンに向かって叫んでいた。

「女の子の年齢を軽々しく言わないでよ!」

「女の子じゃと? シオンのどこが女の子なんじゃ? 何たって実際の年齢は......へぶっ!」

 ミリムも学習能力がないのかまたもやシオンのチョップを食らっていた。

「ぐぅ~」

 またもやカーミラのお腹が鳴ったようだ。カーミラは赤面して恥ずかしそうに私に尋ねる。

「マコトさん、すみません。先に料理の注文してもいいでしょうか?」

「そうだね。何か時間かかりそうだしそうしようか」

 メニューを2人で眺めて何を食べようか考える。そんな私たちの傍らでミリムとシオンが口論を再開していた。

「シオン! お主いい加減にするのじゃ! どうせお主のような年増はもう賞味期限切れじゃ!」

「い、言ったわね! あんただって人間から見たら私と同じ年増でしょうが!」

「ふっふっふ......わしはさっき宿に誘われて今部屋まで取っておるのじゃ......お主とは魅力が違うのじゃ! 魅力が!」

「な......なんですって!?」

 シオンは地面に手を着き分かりやすい敗者のポーズをとっていた。

「マコトさん、ミリムさんの言った話って......」

「カーミラの予想通りだと思うよ......きっとシオンに勝てることを見つけて嬉しいんだろうね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る