第72話 ここで暴れてはいけません
「シオン! お主何しに来おったのじゃ!?」
ミリムはシオンに指を突き付けながら尋ねた。
「ここに来る理由なんてご飯食べるために決まっているでしょ! というか私のほうが先にいたんだから来たのはあんたたちの方よ!」
うん......この状況だと私たちのところにシオンが来たというより、シオンのところに私たちが来たというのが正しいよね。
「まあまあとりあえずお2人とも落ち着いてください。ここは食堂ですよ」
「う......わ、分ったわよ」
カーミラの提案をシオンは素直に聞いてくれたようだ。意外と悪い人じゃないのかもしれない。
「ダメなのじゃ! わしは断固として引かんのじゃ!」
「いや、ミリムは引いて欲しいんだけれど。こんな場所でその面倒な絡み方はやめてくれないかな」
「マコト殿! 何を言っておるのじゃ。今はアクセルがいないから1対3でこっちがかなり有利なのじゃ! 今のうちに倒すのが吉じゃろ!」
ああ......やっぱりこの子はダメな子だ。
「私とカーミラは一緒に戦ってあげないよ。どうしても今戦いたいなら1人で戦ってよ」
「何じゃと!? わし1人じゃシオンに勝てるわけないじゃろ! もっと考えて言葉を選んで欲しいのじゃ!」
「......その言葉。ミリムだけには言われたくない」
「ん......? 何か言ったのか?」
どうやら私の最後の言葉はミリムには聞こえなかったようだ。
「まあ、気にしないで。じゃあミリムも戦う気はないということで食事にしようか」
「そ、そうじゃの......」
少し不満そうな顔をしながらミリムは承諾をしてくれたようだ。
「ところでシオン......」
「気安く話しかけないで欲しいわね」
シオンは私に話しかけられたのが不満なのか少しツンとした態度で返してきた。
「まあまあそう言わずに......どうしてそんなにミリムに冷たいの?」
「どうしてかって? 私は......私は......」
シオンはぷるぷる震えだしてこう答える。
「私の好きな男にミリムが好きだから私とは付き合えないって言われたのよ!」
「は?」
あれ? ここはエルフの落ちこぼれが関係するエピソードが出るところじゃないの?
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