第70話 弱点を狙えばいい

 私たちはあの後宿屋に向かった。案内された部屋に入るとカーミラはベッドの上に座った。

「マコトさん、あのエルフたち何かしてこないか少し心配ですね」

「大丈夫でしょ。睡眠魔法使ったからしばらくは起きないと思うし」

 カーミラは心配そうな表情で尋ねてきたので安心させるためにそう答えた。

「いや、あいつらはかなりしつこいのじゃ! 何かにつけてわしに嫌味を言ってくるようなとても嫌な奴じゃしの!」

「まじ?」

 私はミリムのその言葉にそう聞き返さずにはいられなかった。

「まじなのじゃ」

 やっぱりあんなことしない方が良かったのかもしれないと今更ながらに後悔することになった。

 ただでさえ早くチカちゃんを探しに向かわなければならないのにあのエルフたちに邪魔されたらと考えると気が重い。

「だ、大丈夫ですよ! 僕の回復魔法でどんな攻撃をされても回復しますから!」

 頼もしい......カーミラはやっぱり今までであった中では一番頼もしい冒険者じゃないだろうか。

「そうだ! あの2人に弱点とかないの? とりあえず邪魔されたくないしできれば追い払いたいんだけど」

「そんなものあったらわしの方が知りたいんじゃ」

 こっちは全然頼もしくない。何か結構な知り合いなんだし何か知っててもいいんじゃないかと思うんだけど......まあダメな子だししょうがないか。

「あ、そうじゃ! 弱点あったのじゃ!」

「なんだ! 弱点知ってるんだ! 教えてよ!」

 ミリムは閃いたようにつぶやいたのに反応して私は聞いてみた。

 全く! 早く言ってよ。ダメな子だししょうがないとか考えちゃってごめんね。

「アクセルの弱点は.....」

「弱点は?」

 ミリムの声に反応して私は唾を飲み聞き返す。

「女好きなのじゃ」

「そんな弱点を聞いてどうしろと?」

「色仕掛けをすればいいのじゃ!」

「誰がするの?」

「誰がすればいいんじゃろうか?」

 私に聞き返さないでよ! 私は男だし、カーミラは見た目は男の子っぽい感じだし、ミリムはお子様だし。つまり無理ってことだね......

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る