第69話 恥ずかしい勘違い

「マコトさん! なんだかんだ言ってもミリムさんのために代わりにあいつらをやっつけたんですね! やっぱりいい人ですね!」

 カーミラはキラキラした瞳で私のことを見ている。

 ぶっちゃけなんだかあいつらがむかついたからちょっと懲らしめただけなんだけど......

「わしも今まで以上に頑張るのじゃ! さあ早速行くのじゃ!」

 ミリムは今すぐに出発するぞと言わんばかりに右手をグーの形にして手を挙げていた。

「今まで以上に頑張るならまずは魔力を回復させて!」

 私はミリムに突っ込みを入れた。

「恩人のマコト殿がそう言うなら今は休むことにするのじゃ......」

 ミリムは少し残念そうな顔をしてあげた手を下げた。

 お! 少しは言うこと聞くようになったみたい。

「とりあえず休憩するために宿屋に行こうか」

 私は宿屋の方向を指差した。

「な、な、な、な! マコト殿はわしとその休憩したいと言っておるのか?」

「いや、カーミラもいるから3人で休憩するつもりだけど?」

 慌てふためくミリムに私は不自然に思いながら答える。

「3人で、じゃと!? そ、そんなアブノーマルなことをしておるのか? お主ら?」

「ミリムさん、いったい何を言っているんですか?」

 今度はカーミラがミリムに問いかけた。

「お主ら3人でエッチなことを今からするつもりなんじゃろ?」

「「は? 今何て?」」

 ミリムの答えに私とカーミラは声をそろえて聞き返してしまった。

「わ、わしだって子供じゃないんじゃ! 休憩の意味くらい知っているのじゃ! そ、そりゃ......わしもまんざらでもなかったり......いや、でもいかんのじゃ! 3人でというのは絶対にいかんのじゃ!」

「とりあえず落ち着こうか。そういう意味の休憩じゃないから。普通に魔力回復のために休むだけだから......」

 私はとりあえずミリムの勘違いを指摘してあげた。

「......そうじゃったのか?」

「そうだったんだよ」

 ミリムは真赤に染まった顔を両手で押さえた。

 どうやら自分の間違いに気づいたようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る