第68話 ちょっとイラっとしたね
「......あれ? ここはどこなのじゃ?」
担いでいるミリムが目を覚ましたようだ。
「え......? 私の睡眠魔法がこんなに早く切れるなんて」
以前にアヤナやレイラとは段違いに早く目を覚ましたのだ。
「驚いているようだな。エルフは魔法抵抗が高いんだよ。まあ本来のエルフである俺たちならそもそも眠らないと思うけどな」
エルフの男が解説するように答えた。
なるほど迷いの森ではずっと魔法をかけられているようなものだから治らなかったってことなのだろう。
「お、お主らはアクセル......シオン! なぜこんなところにいるのじゃ!」
ミリムは私から飛び降りてアクセルと言ったときに男のほうをシオンと言ったときに女のほうにビシッと突きつけるように指をさした。
「フン......むしろ何でお前のような落ちこぼれがここにいるのか聞きたいね。お前のせいでエルフの名が地に堕ちてしまったらどう責任を取るつもりだ? おとなしくエルフの里に戻ることを勧めるぜ」
アクセルのその言葉に言い返すこともできずミリムは悔しそうに唇を噛みしめていた。
「黙って聞いていれば君たちは......」
カーミラはアクセルのほうに近づこうとしたが、私は腕を出して進路を阻んだ。
「マコトさん、どうして!?」
「こう言うときは口で言っても意味ないと思うよ。だから――――」
さすがに私もミリムとは知りあって間もないけどアクセルの発言にはカチンときた。
こういう自信過剰なやつにはその自信を打ち砕いてやるのが一番。
「メガスリープ!」
メガスリープはスリープの上位の魔法。つまり眠らせられる確率がスリープよりも高いのだ。
「ふにゃ......」
アクセルはその場に倒れ込んでいびきをかき始めた。
「ア、アクセル!? 何でただの睡眠魔法で眠ってんのよ!?」
シオンは驚いたような顔をしてアクセルを揺すっていた。しかしまったく起きる気配はない。
「お、覚えてなさいよ! この借りは必ず返すんだから!」
シオンはアクセルに肩を貸すようにして逃げて行った。
「あ、ありがとうなのじゃ......一生ついていくのじゃ......」
涙と鼻水を垂らしながら私の服をミリムは掴んでお礼を言っていた。
いや......普通に一生つき纏われるのは迷惑なんだけど......
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