第66話 強引なダメな子
「行くのじゃ! レッグブースト!」
ミリムが魔法を発動すると足がかなり軽くなったような感じがする。
「おお! これなら早く走れそうな感じだね」
魔法の腕だけはやっぱり凄いな。少しだけ見なおしたよ......
「あれ? 何だか足が重くなったような......」
「僕も足が重くなりました」
私はカーミラと一緒に首をかしげていた。
「すまんのじゃ......魔力切れなのじゃ。探索魔法をずっと使っていたせいじゃろう」
......訂正。やっぱりダメな子だ。
「マ、マコトさん、あそこに街が見えますよ! 少し休みましょうか?」
カーミラは気を利かせてくれたようだ。私も疲れてきたところだし休もう。
「そうだね。あの街で......」
「任せるのじゃ! 魔力がなくてもわしの直感で見つけてみせるのじゃ!」
ミリムのために休もうとカーミラが提案してくれたのに、ミリムは全く状況を把握せず先に進もうとする。
「運任せで見つかるわけないでしょ! いいからあの街で休もう!」
「大丈夫なのじゃ! わしを信じるのじゃ!」
ごめん。全く信用できないよ。
「スリープ!」
「ふにゃ......」
多少強引だったが私は睡眠魔法を使ってミリムを眠らせた。
「行こうか。カーミラ」
「は、はい......」
カーミラはひきつったような顔をして返事をした。
私はミリムの体を担ぎあげると近くに見えた街に向かった。
「マコトさん、僕が休むことを提案していて申し訳ないのですが、チカちゃん大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だよ。私が使っている探索魔法ではその人が無事かも分かるみたい。どうやらチカちゃんを傷つける気はないみたい」
本心を言えば早くチカちゃんの元には向かいたい。この子さえいなければ早く向かえるのに......
私は担いだミリムを見てため息をついた。
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