第63話 迷子の子が増えてしまった

 とりあえずこの話題を続けるのはやめてあげよう。私に女の子をいじめる趣味はないし。さて、あとはミリムにも異常状態回復魔法を使わないと......ん?

「次の獲物を探しに行くのじゃ!」

 ミリムは森の奥のほうに走っていく。

「ちょっと待ってよ!」

 私の言葉も聞こえなかったのか森の奥に姿が消えて見えなくなってしまった。

「はぁ......面倒なことになってしまった。人探しを手伝ってくれるってついてきた人が迷子になるなんて。なんで探す立場の人が探される立場になるの?」

「マコトさん、そうなってしまったものは仕方ありません。あまり遠くに行かないうちに見つけましょう」

 カーミラは普段通りに戻ったのか冷静に声をかけてきた。

「そうだね......とりあえず走り去った方向へ進んでみよう。それじゃ走るよ。あっちのほうだ」

 私はミリムの走り去った方を指さして走りだす。

「はい! 急ぎましょう」

 カーミラは返事をすると私の後を追って走り出した。

『固有魔法[オールアブノーマルレジスト]を発動します』

 また固有魔法が発動した。どうやらこの森にいると一定時間ごとに異常状態になるのだろう。

「キュア!」

 私はカーミラに異常状態解除魔法を使用する。定期的に解除すればさっきみたいに錯乱することもないだろう。

「マコトさん、魔法ありがとうございます。この感じだとミリムさんは重度の錯乱になって最悪自害する可能性もあります。急いで見つけないと......」

 カーミラは青ざめた表情で冷汗を流していた。

 私もカーミラの意見には賛成だ。ええっと......人探しをするなら......

「捜索魔法!」

 少し前にステータス画面で発見した魔法を発動した。アイコンのようなものが表示されてどの方角にどれくらいの距離にいるかが表示された。

「あっちだよ」

 私は右斜め後ろのほうを指差した。

「ちょっと待ってください......マコトさん今探索魔法使ってませんでした?」

「あ......」

 カーミラにもミリムがいらない子だってことに気づかれてしまったようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る