第61話 この2人は何を言っているんだろうか?

「迷ったも何もさっきからこのあたりを行ったり来たりしているだけじゃないか......」

「何を言っておるのじゃ? わしはさっきからまっすぐ進んでおるぞ」

 私の言葉にミリムは首をかしげて答えた。

 何を言っているだと首を傾げたいのはこっちの方だよ......そう。さっきからミリムはこのあたりをぐるぐる回っているだけなのだ。

 後ろから服を引っ張られたので振り返ってみるとカーミラは青ざめた表情になっていた。

「マコトさん、本気でこれヤバいですよ......どうしましょう......」

「うん。私も同じことを考えていたよ......はやくミリムと早く別行動した方がよさそうだね」

「そうです。早く別行動を......って違いますよ! 森から抜け出せないって話ですよ!」

「え?」

 ミリムがおかしいのは最初からだしさておき、あんなに常識人のカーミラがミリムの不自然な行動に気づかないわけはない。

『固有魔法[オールアブノーマルレジスト]を発動します』

 さっきからシステム音が鳴っているな......この魔法は一体何なんだ?

「ステータス」

 ステータス画面を開いて先ほどから発動している魔法について確認してみた。

 固有魔法[オールアブノーマルレジスト]・・・すべての異常状態を自動的に解除します。

「なるほど......ということはこの2人は混乱状態とかにでもなっているのかもしれない」

 ミリムごめんね。おかしいやつだからさっきからこのあたりをぐるぐるしていたのかと思ったよ。

「こっちに来るのじゃ! 美味しそうなお肉があるのじゃ! 皆で食べるのじゃ」

「グルルルル......」

 ミリムは明らかに警戒しているオオカミの魔物たちを指差して喜んでいた。

 対してオオカミのような魔物は涎を口からダラダラと垂らしてこちらに近づいてくる。

 確かに肉と言えば肉だけど......食べられるのは私たちのほうになりそうだよ?

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