第57話 エルフって何?

 カーミラが観察するように女の子を見ると閃いたように私に耳打ちした。

「それよりマコトさん。この人エルフじゃないですか?」

「エルフ? 聞いたことあるようなないような......」

 こんなことならもう少し異世界系の話を読んでおけばよかった.......

「マコトさん、エルフをご存じないですか? エルフは人間より身体能力が高くて、知力が高くて、魔法が得意で、とても長生きな種族です。特徴は耳が長くて尖っているんですよ」

「なるほど......」

 前半の見た目ではない特徴はさておき、身体的な特徴である耳は長くて尖っているようだ。

「えっと......じゃあ相談してもいいかな?」

「もちろんじゃ。おっと、わしとしたことが自己紹介がまだだったのう。わしの名前はミリムじゃ」

 思い出したかのように女の子は自己紹介を始めた。

「私はマコトでこっちは......」

「カーミラです。よろしくお願いします」

 私とカーミラはそれぞれ自己紹介をして、ミリムと握手をする。

「よろしくのう。で、何を困っておったのじゃ?」

「それがチカちゃんっていう女の子がどこにいるか分らなくてどうしようか途方に暮れていたんです」

「なるほど......じゃあその子の匂いがついたものとかあるかの?」

「えっと......今用意するからちょっと待って......って今何て?」

 私はミリムの発言の違和感に気づいて聞き返した。

「匂いがあるものじゃ! ちゃんと聞くのじゃ!」

 おっと......どうやら聞きちがいじゃなかったみたいね。

 念のため隣にいるカーミラに事実確認の意味で聞いてみることにした。

「私あんまり魔法に詳しくないんだけど人を探すなら普通似顔絵とかじゃないの?」

「はい。そうです。匂いで探すってせいぜい街中にいる人くらいじゃないと探せないと思いますけど......」

「もしかしてこの子はロリコンなのかな?」

「ロリ......なんですか? その言葉の意味は分かりませんが胡散臭いかもしれませんね」

 私とカーミラがこそこそ話しているのに腹をたてたのかミリムが痺れを切らして叫んだ。

「お主らわしの耳はどんな小さな音も聞きとれるんじゃ! さっきから好き放題言おって......わしのことをなんじゃと思っとるんじゃ!」

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