第56話 ちびっこ

「それはどんな見た目なんでしょうか?」

 私はどんなイケメンか知りたくて似顔絵の提示を求めた。

「いや、それがローブを纏っていてどんな見た目かは分らなかったな」

「そうですか......」

 冒険者の言葉を聞いて私はガクッと肩を落としてしまった。

 イケメンかどうかわからないんじゃやる気がでないよ......

「どうしたんですか? マコトさん?」

 私の様子を見てカーミラが心配してくれたのか声をかけてくれた。

「何でもないよ」

「そうですか......それよりこの状況じゃチカちゃんの話は聞けそうにないですね」

 私とカーミラは仕方なく帰ろうとする。

「ちょっと待ってくれ。チカちゃん......そう言えば魔王軍幹部と一緒にいた小さな少女がそんな名前で呼ばれてたな」

「そ、それは本当ですか!?」

「ああ、俺以外にも何人かの冒険者が見てたぜ」

 つまりチカちゃんは魔王軍幹部と一緒にいる?

「カーミラ、どういうことか分らないけど、もしかしたらチカちゃんが危ない。私に協力してくれない?」

「もちろんですよ。僕じゃあんまり頼りにはならないかもしれないですが、マコトさんの頼みなら断るわけないじゃないですか!」

「ありがとう」

 私はチカちゃんを探しに向かうのであった......どこへ?

「カーミラ......どこに行けばいいんだろう?」

「そ、それは僕にも分らないです......」

 困ったな......どうしようか。

「お主ら、もしかして困っておるのか?」

 何か声が聞こえたような......

 声のする方を見ると杖を持ってローブを着た小さな女の子がいた。チカちゃんと同い年くらいだろうか?

「えっと、お嬢ちゃんは迷子?」

 私はその子の目線に合わせるようにかがんで聞いてみた。

「わしはお嬢ちゃんではないわ! 年だって300歳は超えておるわ! このセクシーなナイスバディを見れば分ろう!」

 とりあえずその子の胸を見た後、カーミラの胸と見比べる。

 僅差でカーミラの負けかな? 正直ほとんど引き分けと言っていいレベルだけど。

「あの......マコトさん僕の胸をガン見するのはやめてもらえませんか?」

「あ、ごめん」

 カーミラは恥ずかしそうに両腕で胸を隠すように押さえて顔を赤くしていた。

「困っていることがあるならわしに相談するのじゃ!」

 胸を張って先ほどの女の子が何でも聞きなさいと言わんばかりに鼻息を荒くしていた。

 おっと......そういうままごとかな? 今は遊んであげている暇はないんだけど。

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