第55話 慌ただしい様子のギルド
「私昨日たくさんジュース飲んだじゃないですか?」
アヤナは当然私が知っていることを前提に話し始めた。
「いや......知らないけど......それで?」
「目が覚めてトイレに行ったわけですよ。何とそこにはチカちゃんがこんなことを言いながら歩いて行ったんです」
「なんて言ったの?」
「『ママが迎えに来る』って言ってました。なので私はやっと厄介払いができるなと思ってそのまま部屋に戻ったんですよ!」
「さっき厄介払いとか言わなかった?」
「え? 言いましたけどそれが何か?」
アヤナは悪びれる様子すら見せなかった。どうやら本心で言っているらしい。
「マコトさん、とりあえずギルドにでも行って何か情報がないかを聞いてみましょう」
「そうだね」
私とカーミラは玄関のほうへ歩いていくと背後からアヤナに呼び止められた。
「私の朝ごはんはどうなるんですか!?」
この子はどんな時もぶれないな。自分の欲望に正直すぎるタイプだな。
アヤナはここで厄介払いした方いいな......ギルドでの聞き込みがはかどりそうだし。うん、アヤナは家に置いていくのがいいだろう。
「カーミラのお母さんが何か作っているみたいだから先食べてなよ」
「やったぁ!」
アヤナは1人でダンスを踊るようにその場で飛び回った。
「じゃあいこうか、カーミラ」
「はい」
ギルドに着くと慌ただしい様子で職員の人たちが走り回っていた。
「何かあったんでしょうか?」
「そうみたいだね。冒険者の人に聞いてみよう。すみません......」
私は椅子に座ってた冒険者の1人に声をかけた。
「おう、兄ちゃん。何か用か?」
「はい。騒がしいみたいですけど何かあったのですか?」
「ああ、魔王軍幹部がこの近くにいたらしい」
「「魔王軍幹部!!」」
私とカーミラは声をそろえて驚きの声を上げた。
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