第51話 報酬の山分け

 街に戻りまずはギルドに向かうことにした。

「マコトさん、今日はご馳走が食べられそうですね!」

「ごめんね。実はご馳走なら昨日カーミラのお母さんに作ってもらったから今日は別にいいかな」

 アヤナのは私の答えを聞いてカーミラに掴みかかった。

「何で私にはご馳走出さないのよ!」

「すみません......アヤナさんは寝ていましたのでご馳走するチャンスがなくて......きょ、今日はご馳走出しますから!」

 カーミラはバタバタと手を動かして苦しそうにもがいていた。

「最初からそう言えばいいのよ。まったく......」

 別にカーミラはアヤナに料理を出したくないとかそういう話はしていなかったと思うんだけど......

 そんなやり取りをしているうちにギルドに到着した。

「はい。こちらが魔王軍幹部討伐の報酬になります」

 受付のお姉さんは3人に1枚ずつ紙切れを渡した。

「なんで1枚しかくれないのよ! 私たちすごく頑張ったのよ!」

 アヤナは今度は受付のお姉さんに絡み始めた。

「アヤナ! 落ち着いて!」

 私はアヤナの肩を掴んで受付のお姉さんから引きはがした。

「これは小切手なの。依頼書にあるような金額の小さいものなら直接貰えるけど大きいものは小切手なの」

「そ、そうだったんですね。さすがマコトさん、魔王軍幹部を倒した実績がある分よくご存じですね。私の金額は......ん?」

 私もアヤナの小切手を覗き込んだ。0が1つ、2つ......3つ?

 3000ゴールドとそこには書かれていたのだ。正直現金払いされてもおかしくない額だった。

「ちょっとこれ間違っているんじゃないの!?」

 またもやアヤナはギルドの受付のお姉さんに絡み始めた。

「落ち着いてください。アヤナさんの詳細をお話しすると攻撃ポイント0ポイント、支援ポイント0ポイント、救援ポイント30ポイントですので3000ゴールドになります」

「納得いかないわよ!」

 報酬の分け方をアヤナとカーミラと話してたけどあの話自体無意味だったことに気づいた。

 前に魔王軍幹部を倒して報酬をもらった時も別に冒険者同士で報酬を山分けした記憶がない。

 つまり勝手にギルドが報酬を振り分けてくれるわけだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る