第45話 まずは作戦を立ててから挑もう

「魔王軍幹部のところに行くのはカールと私でいいかな?」

「一応私も冒険者なんですから一緒に行きますよ!」

 私の提案に対してアヤナが異議を唱えた。

 未だにアヤナが戦っているところを見たことがないのだけれど強いのだろうか? 武器を持っているところを見たことがないのだけれど。

「魔王軍幹部と戦うのですから冒険者は一人でも多い方がいいですね。マコトさん、アヤナさんにもついて来てもらいましょう」

「うん。そうだね。チカちゃんはお家でお留守番しててね」

 そう言って私はチカちゃんの頭を撫でてあげた。

「うん! 頑張ってねお兄ちゃん!」

 玄関のドアを開けて早速魔王軍幹部のところに向かうことにした。

 カールが先導するように前を進み私とアヤナは後ろからついて行く形になった。

「ひとまず、作戦を立てたいのでお二人はどんな戦いが得意か教えてもらえますか? 僕は回復系の魔法が得意です。マコトさんから教えてください」

 なるほど、カールはヒーラーということか。前衛職なら襲われた時返り討ちにできたもんね。

「私は剣と魔法両方とも得意かな」

「マコトさん、すごいですね。前衛も後衛もできるのですね」

 カールは憧れの眼差しで私のことを見ていたが、アヤナが割り込むように口を挟んだ。

「ちょっと私にも何が得意か聞きなさいよ!」

 アヤナはやけに自信満々だけど何か特殊な力とかでもあるのだろうか?

「えっと......アヤナさんは何が得意ですか?」

「踊りよ!」

 それは戦いに必要な力なのだろうか?

「えっと......踊ると味方の体力が回復するとか?」

 カールは必死に踊りと戦いを関連付けてひねり出した答えをアヤナに疑問形で返した。

「違うわよ! 男性冒険者が喜ぶわ!」

 アヤナは果たして冒険者と呼べるのだろうか?

 今からでも遅くないから帰ってもらった方がいいんじゃないかしら?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る