第44話 事情を説明する

 翌日。部屋で目覚めたアヤナが耳に痛いくらいの甲高い声で騒いでいた。

「マコトさん! ここどこですか!? まさか昨日しちゃったんですか? 何にも覚えていないんですけど私!」

「とりあえず。落ち着こうかアヤナ。昨日いろいろあって、私が助けた男の子の家。あの後レイラと喧嘩になりそうだったから睡眠魔法を使って眠らせたんだ。その後はここまで運んでずっとベッドで寝てただけだからアヤナの考えていることはしていない」

「何で何もしてくれないんですかぁあああ!? こんなに可愛い美少女がいるのに!?」

 え......その責められ方は理不尽じゃない? というか寝ている間に何かされたいってどんなプレイなの!?

「ん......おはよう。おにいちゃん......」

 トロンとした表情でチカちゃんは眠たそうに目をこすっている。どうやらアヤナの騒がしい声で起きてしまったようだ。

「おはよう、チカちゃん。起こしちゃったかな?」

「んーん。チカね。お兄ちゃんに何かされるの待ってただけだから」

「何もしないよ? 期待して待つのはやめようか?」

 チカちゃんも対抗心を変なところで燃やすのはやめて欲しいな。

 コンコン。

 部屋のドアを叩く音がする。

「どうぞ」

 私はその音に反応して答える。

「おはようございます。マコトさん起きていますか?」

 カールがドアを開けて部屋に入ってきた。

「うん。起きているよ」

「マコトさん、誰ですかこのそこそこイケメンの人は?」

 アヤナにとってカールはそこそこイケメンなんだね。結構アヤナの理想はなかなか高いようだ。

「この人はカール。さっき私が助けたって言った男の子だよ」

「はじめまして、アヤナさん。僕はカールです。よろしくお願いします」

 そう言うとカールは頭を下げた。

「よろしく。私はアヤナ」

 私に初めて会った時のようなキャピキャピ感はなく淡白に挨拶をした。

 初対面で頼まれたからあんなことをしたアヤナのことだからビッチかと思ったけど、自分のタイプの男じゃなかったらこんな反応なのね。

 願わくばそれが私以外の男に向いて欲しいものね。

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