第43話 イケメンがイケメンを倒そうとしている

「ちょっと待って......なんで冒険者やってたのにいきなりオカマになった話になるの?」

 私はカールの話に突っ込みを入れずにはいられなかった。

「簡潔に言うと魔王軍幹部と戦ったそうなのですが、どうやらその魔王軍幹部がイケメンだったそうです」

 私も戦ったことあるからそれには激しく同意だ。

 私は自然と腕を組んで頷いた。

「そしてその時父は『イケメンの男って最高ね? かっこいい人ステキ』ってその魔王軍幹部に惚れてしまったそうなんですよぉおおお!」

「なんて人なんだ! 男のくせに男が好きだなんて!」

 あれ......? それって今の私じゃない?

「マコトさんもそう思いますよね? 僕は父に失望しました!」

「ソ、ソウデスネ......」

 私は動揺したせいで変なしゃべり方になってしまった。

「父はその後はじめたオカマバーが大ヒット。確かにそのおかげで僕の家はこんなにも大きく、暮らしもこんなに豊かになりました。でも父は『女がいる家で暮らすなんて無理。お金は家に入れてあげるからあたしに関わらないでちょうだい』って言われて父とはそれ以来会っていません」

 いろんな意味でカールは波乱な人生だ。

「じゃあもしかして冒険者をやっているのは......?」

「そうです。魔王軍幹部を倒すためです!」

 おやおや? これはもしかしてまた新たなイケメ......もとい魔王軍幹部に会えるチャンスかな?

 私は自然と顔がにやけてしまう。

「実は私は魔王軍幹部を2人倒してるんだ」

「そ、それは本当ですか?」

 カールは驚いた表情で私のことを見たが、すぐに軽くため息をついて私にこう言った。

「あれだけ強い姿を見せてもらったんです。魔王軍幹部を倒しても不思議ではないですね。一緒に魔王軍幹部を倒してもらえませんか?」

「もちろんだよ」

 私はカールと握手をした。

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