第42話 お金持ちの理由
しばらくするとカールが戻ってきた。今度は普通に男装をしている。
女装のイケメンも良かったけれどやはり私は男装のイケメンが好みね。
カールはそのまま私の目の前に座って手を合わせる。
「いただきます」
カールは目の前にある料理をお皿に取り始めた。
「カールは普段からこんなにおいしい食べ物を食べているの?」
ふと私は疑問に思って聞いてみた。大きい家にこれだけの豪華な食事普通の暮らしとは言い難いだろう。
「はい。だいたいこんな感じの食事ですけど......」
どうやらカールは本当のお金持ちのようだ。一体何の仕事をしたらこんなに儲かるんだろうか。
私はさっき食べたお肉をもう一度口の中にいれ触感と肉汁を堪能する。
私もできることならもっといい仕事についてこんな暮らしをしてみたいものだ。
今度は白い脂身がきれいにのっているお刺身を食べる。
「おいしい......」
あまりのおいしさにことばを漏らしてしまった。
「そちらはクロマグロの脳天と言って、大トロや中トロみたいに脂が乗っているのにさっぱりしておいしいですよね。1匹のマグロからわずかの量しか取れない希少部位なんです」
またもや希少部位なの!? まさにセレブという言葉が似つかわしい生活をしている。
「ふと思ったんだけどこれだけ大きな家に住んでるなら冒険者みたいな危険なことしなくてもいいんじゃない?」
「それは......」
カールは返答に困っているようだ。なにか事情でもあるんだろうか?
「ほら、ご馳走してもらったんだから悩みくらい聞くよ」
助けたお礼とはいえどう考えてもお礼のほうがすご過ぎてこのままだと何となく悪い気がする。
「マコトさん! 聞いてくれますか!」
カールはテーブルに乗り出すように私に顔を近づけてきた。一瞬キスでもされるかもと思ってドキドキした。しかし、その真剣なまなざしを見るとカールの熱意が伝わってくる。
「もちろん聞くよ」
「ありがとうございます。実はこれだけお金持ちになったのは最近なんです」
「ということは何かきっかけがあったってこと?」
「はい。実は1年ほど前に父は冒険者として前線で戦っていたんです」
なるほど、だから父親にあこがれて冒険者になったと。きっとお父さんはすごく強い人でお金をすごく稼いでいたんだろうか?
「なのに突然オカマになって帰ってきたんです」
話が急展開すぎるでしょ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます