第41話 おいしい食事

 ぐぅ~。

 私の隣からお腹の音が鳴ったのが聞こえた。

「お兄ちゃん......チカもうお腹ぺこぺこ」

「あの、チカちゃんだけでも先に食べてもよろしいですか?」

 私はカールの母にお願いした。

「もちろんいいわよ。さあ召し上がれ。マコトさんもあの子を待たずに食べていいですのよ」

 ぐう~。

 今度は私のお腹が鳴った。

「あ、あははは。すみません。お言葉に甘えて私もいただきますね」

「どうぞ」

「「いただきます!」」

 私とチカちゃんは先に食べることにした。早速目の前に見えたお肉を取って食べた。

 歯ごたえはまさに極上の柔らかさだ。しかも、ゆっくりかみしめるとうま味たっぷりのコクのある肉汁が口いっぱいに広がる。

「美味しい......何のお肉を使っているのですか?」

 私はカールの母に尋ねてみた。

「これはシャトーブリアン......牛1頭から500~800グラムしか取れない超希少部位のお肉なのよ」

 シャトーブリアンだってぇえええ! 高級食材じゃない!?

 値段で言うと日本円で確か100グラムあたり1万円前後くらいしたはず......

 よく見るとどの食材も食べるまでもなく高級食材が使われていることに気づく。

「おいしい! おいしい!」

 チカちゃんは手を止めずに次々に食べ進めているが、私は目の前の高級食材に圧倒されて手が止まってしまった。

「どうかしら? お口に合わなかったかしら?」

 私の手が止まっていることに気づいてカールの母が心配そうに私を見ている。

「いえ! とんでもないです! とても美味しいです!」

「何ならついでにあの子のことも一緒に美味しくいただいていいのよ?」

 カールの母親はニコニコしながらとんでもないことを言い出した。

 この人は自分の子供になんてことをさせようとしているんだろうか?

「ダメだよ。お兄ちゃんはチカのことを食べてくれなきゃ」

 チカちゃん......そんな言葉まで知っていたのね。もういっそ親に会わせずに私が正しい教育をした方がいいのかもしれないわ......

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