第38話 お母さんの話はよく聞くけどお父さんは?

「さあ上がってください」

 私たちはカールに案内され家の中に入っていく。

 家の外では家の大きさに圧倒されたが、中に入って見るとシャンデリアや立派な絵画などが目に入る。

 どう見ても一般人の家ではないようだ。

「こっちですよ。まずはアヤナさんをベッドに寝かせましょう」

「そうだね。ありがとう」

 私はカールにお礼を言って案内された部屋のベッドにアヤナを寝かせた。

「少し待っていてください。食事を用意するので」

 カールはそう言って部屋から出て行った。

「お兄ちゃん。すっごく大きな家だね!」

「うん。そうだね。カールはお金持ちなんだろうね」

 私の横顔を見ていたチカちゃんが何かに気づいたように私の手を握った。

「チカね。別にお兄ちゃんがお金持ちじゃなくても気にしないよ! お金持ちの男は浮気するからやめておきなさいってママ言ってたし!」

 チカちゃんのお母さんはお金持ちの男にだまされたことでもあるんだろうか。

 そう言えばチカちゃんはお母さんの話はよくしているけどお父さんはどんな人なんだろうか?

「チカちゃんのお父さんはどんな人なの?」

「チカのパパ? えーっとね、お星さまになった」

 そうだったのか......チカちゃんのお父さんはもう。

「あ、間違えた......ママがパパにはお星さまになってもらったって言ってた」

「え゛?」

 お星さまになってもらったってどんな状況なの!?

 深くは聞かない方が良いかもしれないわ。

 コンコン。ノックの音が聞こえた。

「どうぞ」

 ノックの音に答えるように私は返事をした。

「失礼しますね」

 先ほどの、カールの母が部屋に入ってきた。

「何かご用ですか?」

 私はカールの母に尋ねた。

「もしよろしければ食事の前にお風呂はいかがかしら、お風呂は玄関から右手のほうに進んだところにあるわ」

「わーい! お風呂入る!」

 カールの母の提案にチカちゃんは喜んでいた。

 私も汗をいっぱいかいたしお風呂に入るとしようか。

「お兄ちゃん一緒に行こ!」

 チカちゃんに手を引かれて部屋を連れ出された。私は念のためチカちゃんに確認する。

「一緒に入るの?」

「うん! チカね。お兄ちゃんをのーさつするの。女の裸は男を惑わす力があるってママ言ってた!」

 私は何とも言えない表情でわくわくしながら私の手を引くチカちゃんを見る。

 ごめんねチカちゃん。そもそも私は女だから女の裸を見ても悩殺はされないよ?

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