第35話 人間のイケメン
「「確かに一理ある......」」
アヤナとレイラはうなずきながら声が揃った。
ないよ? 一理ないからね?
もはやこの状況の危うさには私しか理解できない。
ついでに補足するとチカちゃんは何が起ころうとしているのかワクワクしながら眺めているのだ。
「はぁ......仕方ない。スリープ!」
「「ふにゃ......」」
私はいい方法が見つからなかったのでとりあえず2人を睡眠魔法で眠らせた。
「ヤクモ......私はアヤナとレイラは別行動をした方がいいと思う。私とアヤナとチカちゃんで行動するから、ヤクモはレイラのことを頼める?」
「仕方ないですね......そうした方がよさそうですね。このままじゃ部屋が汚れますし......」
だからもうそのネタはいいよ......
私はアヤナを背負ってまずは別の宿を探すことにした。
「チカちゃん行こう」
「うん!」
受付のおばあちゃんに事情を説明して私たちは泊まらないことをことを告げた。
「また機会があったら泊まってくんろ」
宿屋を出た後、他の宿を探そうと賑やかな方に向かい通りを進んだ。
通りには出店が立ち並んでておいしそうな食べ物のにおいがいろいろな方向からする。
「お兄ちゃん......お腹すいた」
チカちゃんのおなかがぐ~と音を立てる。
「何買ってあげるよ」
「わーい! お兄ちゃんありがとう!」
「何食べたい?」
「あれ食べたい」
チカちゃんが指差したのものを買ってあげてると裏路地から声が聞こえた。
「やめてください!」
「兄ちゃん......俺たちお金持ってないんだよ。だからよ......金貸してくれねぇかな? いつ返すかは分らないけどな!」
冒険者らしい格好をした男の子に対していかにもガラの悪そうな男が2人絡んでいたのだ。
何だか怖いしあの人には悪いけど、ここは見なかったことにし......ん?
思わず私は2度見ををしてしまった。なぜなら絡まれている男の子のほうを見るとかなりの美形な顔つきだったのだ。
前に会った魔王軍幹部よりは少し劣るけどこれはなかなか......
「チカちゃん、ちょっとアヤナのこと見ててもらえるかな?」
「うん。いいよ」
アヤナを道の隅に座らせて私は裏路地を進んだ。そしてガラの悪い2人の男たちに人差し指を向けて叫んだ。
「そこのガラの悪そうな悪漢ども! そのイケメ......じゃなくてその人から離れなさい!」
「ありがとうございます! 助けてください!」
男の子が私の後ろに回り腰のあたりに抱きついた。
イケメンに抱きつかれるのも悪くないね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます