第30話 嫌な再会

「これは......魔物がこんなにも......街も......なんてことだ」

 城の外に出ると王様は驚愕した表情を浮かべていた。

 無理もない......慣れ親しんだ街の変わりようを見たのだから。

「よくも大切なわしの街を! 修繕費用がいくらかかると思っているんじゃ!」

 訂正......そんなことを考える王様じゃないようだ。

 街のほうまで出ると予想通りと言うべきか魔物たちが徘徊していた。

 なるべく魔物が少なそうな道を選んで通っていると道中に倒れている人がいた......いやあれは、レイラだ。

 関わらないようにして街を出よう。このあたりには魔物はいない。起きればレイラは勝手に逃げてくれるだろう。

「姉ちゃん!」

「え? 姉ちゃん?」

 ヤクモが倒れているレイラに駆け寄って抱きかかえる。

 状況を整理しよう。えーっと。つまりヤクモのお姉ちゃんはレイラということ?

「はい。俺の姉ちゃんです」

「えーっと、ヤクモは実は養子とか?」

「いえ、違いますよ」

「あ、そっか、お姉さんのほうが養子とか?」

「それも違いますよ」

「嘘だっ! この変態と姉弟だとでもいうの?」

「マコトさんは知っているのですね。ええ、恥ずかしながら......姉弟です」

 ヤクモはちょっと馬鹿なところはあるけどあの変態の弟という点を考慮すると真人間に見えてしまう。

「マコトさん、俺は姉ちゃんを背負って行きます」

「え、うん。いいんじゃない?」

 そこに捨てておいてとはさすがに実の弟の前では言えなかった。

 目を覚ましたら面倒なことになりそうだけど仕方ない。

 そのまま魔物が少ないところを通り街の外へ出ると無事にアヤナとチカちゃんと合流することができた。

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