第26話 ロリコン疑惑ってなくらないね

「とりあえずマコトさんがロリコンかどうかはさておき、この子どうするんですか?」

 ヤクモはチカちゃんのほうを見降ろして私に確認をする。

 というかもしかしてヤクモまでロリコン疑惑を持っているの?

 なんで否定しないで保留にされてしまうの?

「そうだね......こんな状況だから親を探すのも難しいだろうし......そうだ! 児童養護施設(保護者のいない児童を預けるところ)はないの?」

「じど......なんですか?」

 ヤクモは戸惑ったように質問をしてきた。ということはやっぱりないんだろうな。

「大丈夫だよお兄ちゃん。チカはお兄ちゃんと一緒に住むよ。それでね、チカをねお兄ちゃん色に染めて欲しいな!」

「マコトさん! 何なら私も一緒に住んでマコトさん色に染めてくれていいですよ!」

「一緒に住まないし染めないよ!!」

 チカちゃんとアヤナがとんでもないことを言い出しやがったよ......

 女の子はもっと自分を大切にするべきだよと私は思うね。

「とりあえず。こういうのは国王様とかに相談してみるのはどうでしょうか? ほらバランさんにお願いすればまた会えるんじゃないですか?」

 ヤクモがまともな提案をする。

「バランさんか......」

 私は数分前のことを思い出す。あの人この街を捨てて逃げて行ったんだよな......もう会うこともないだろう。

「それ以前にこのまま放置するとこの街滅びちゃいそうだけど」

 私は燃え上がっている街のほうを指差した。その様子を見てヤクモは合点ポーズをした。

「つまりマコトさんはこの街を救いたいと言うのですね! さすがですマコトさん」

 ヤクモは拳を握りしめ感動の涙を流している。

 え? そんなこと一言も言ってないよ?

「アヤナさん。チカちゃんを頼みます。俺とマコトさんで街に戻り魔物たちを倒してきます! 行きましょうマコトさん!」

 ヤマトに連れられて街に戻ることになってしまった。やっぱりそういう流れになるよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る