第25話 地下牢に助けに行く
「チカちゃん。そんなお礼はしなくていいから」
「えっ......そうなの?」
チカは困惑した顔で何か考えているようだ。そして閃いたような顔をして私に言う。
「お兄ちゃんは貧乳派だったの? 今のチカのおっぱい触ってもいいよ」
チカちゃんは胸を突きだすような格好をする。
「ちがーう! お礼自体しなくていいから。それに女の子は自分の体を大事にしなくちゃいけないよ」
同じ女でも年上の先輩として助言してあげた。
「はっ......じゃあ大人になったらチカのことあげるね。それまで大事にする!」
なんだこの子。よくない環境で育ったようだ。
辺りを見渡す限りこの子の親らしい人が見当たらない。
「チカちゃん。一緒について来てくれるかな?」
この子を1人で逃げさせるのは危険だろう。さっさとあの2人を助けてこの子も一緒に逃がしてあげよう。
「うん! 分かった!」
私はチカちゃんの手を引いて地下牢へ急ぐ。幸い地下牢あたりにはあまり魔物はいなかった。
人があまりいないから魔物もよって来なかったのかもしれない。
「く、来るんじゃねぇ!」
アヤナが捕まっている牢の近くの階段を降りているところでヤクモの声が聞こえた。
急いで牢の前まで行くとガイコツの魔物とヤクモが戦っていた。
「ちょっと! 私のために死ぬ気で戦いなさいよ! なに押されてんのよ!」
牢の中でアヤナが鞭を打つような言葉をヤクモにかけている。
私はガイコツの魔物の後ろから剣できり伏せた。
「マコトさ~ん。アヤナを助けに来てくれたんですね!! やっぱりそこの凡夫とはやっぱり違いますね」
なんてひどい言われようだ。命をかけて守ってくれたって言うのに。
私は牢の鍵を剣で破壊する。
「逃げよう。外も魔物でいっぱいなんだ」
私の言葉に2人はうなずきそのまま地上へと上がる。
地上に出た後もなるべく魔物が少ないところを探して街の外まで逃げた。
「はぁ......はぁ......何とかなりましたね。マコトさんさっきはありがとうございます」
ヤクモが私にお礼を言う。
「気にしないでよ。仲間でしょ。私たち」
「マコトさん。さすが男です! それよりそっちのちっちゃい子は誰ですか?」
だから男じゃねぇよ。とりあえず質問には答えよう。
「さっきゴブリンに襲われてたところを助けたんだよ。1人すると危ないと思って連れてきたんだ」
「うん。チカね『一生ついて来てくれるかな?』ってこのお兄ちゃんにプロポーズされたんだ」
違うよ? 一生じゃなくて一緒にだよ?
「マコトさんってロリコンだったんですか?」
アヤナのこの質問をバッサリ切るように言う。
「(男でもないけど)ロリコンでもないから!!」
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