第19話 ギルドで聞き込みをする
私はバランさんを担いでお城の中に連れて行った。
「何で私がこんなことしないといけないの......」
イケメンを担ぐならまだしもオジンを担いでもうれしくないんだけど。
私がバランさんを担いでいる様子を見て城にいた兵士たちがこちらに駆け寄ってきた。
「騎士長!! どうされたんですか!? まさか魔王の手先に!?」
「えっとこれは......」
「チクショー! 体中傷だらけじゃないか! 魔王の手先どもめ、絶対に許さん!」
「いや、だから......」
「マコトさん、絶対にやつらを倒しましょう!!」
「はい......」
バランさんを兵士たちに預けて私は城の外に出た。
たたみかけるような兵士たちの言葉のせいで私は結局状況説明ができなかった。
とりあえず、街の人に聞き込みでもして魔王の手先が出た街に行ってみようか。
人通りの多いところまで行くとギルドの看板が見えた。
「丁度いいや。あそこで聞いてみよう」
中に入ると強靭な男たちやいかにも魔法使いっぽい女の人たちでいっぱいだった。
私が元々いた街とギルドの様子は変わらないなと思って少し笑ってしまった。
「よう兄ちゃん新顔だな?」
中でもひときわ体の大きくいかにも熟練の冒険者って感じの人がビールのジョッキを片手に持ちながら話しかけてきた。
「はい。ここには今日初めて来ました」
「そうか。特別サービスで俺が何でも教えてやるぜ」
「じゃあ、魔王の......」
「何だって? 俺がこの前倒した魔物は何か教えて欲しいだと?」
いや、聞いてないよ。
「仕方ねぇな、教えてやるよ! キングオーガさ。討伐難度B-のな」
ドヤ顔で自信満々にその冒険者は答えた。
それはすごいのだろうか? 私はもっと上の難度のを倒しているのだけど。
「へ......へぇ。それはすごいですね......」
「だろ! 何せ俺はこの街で一番の冒険者だからな!」
あーこの人あれだ。ただの酔っ払いだ。
私はこの後3時間くらいこの冒険者の自慢話を聞かされることになった。
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