第18話 実力を試される

 地下牢から出るとバランさんがそこに立っていた。

「ヤクモとかいったか、あいつはどうした?」

「おいてきました。私1人で調査することにします」

「そうか......あいつはおまけみたいなもんだからな。何私がいれば百人力だ。安心しろ」

 魔王の手先と会ったときに寝たりしないだろうな。

 敵の前で寝るとか足手まといにしかならないからな。

「頼りにしていいですか?」

「オイ! なぜ疑問形なんだ!? この国ではかなり強いのだぞ!」

 私は完全なる疑いの目を持ってバランさんを見た。

「信用していないのかならば私の強さを見せてやろう! お前の強さも確認しておきたいしな!」

 バランさんは右手を私の方に向けた。

「くらえ! ギガファイアーボール!」

 巨大な火球を私の方に向けて放ってきた。

「えっ......いきなり攻撃する普通!?」

 私はその火球を右のほうに飛んで回避した。

 そしてその火球が地面にあたると小さな隕石でも落ちたかのようにクレーターができた。

「避けていては確認にならんだろう?」

「いや普通避けますよ! 何ですかあの攻撃は!! 当たったら死んじゃいますよ!」

「私なら当たってもかすり傷程度だ! さあ今度は避けずに受けてみるがいい」

「いやいやいや!! 無理だって......あ、しまった」

 私は石に躓いて転んでしまった。

「ギガファイアーボール! さあ見せてみろ!」

 バランさんはまた巨大な火球を私に放ってきた。

『固有魔法[オートマジックカウンター]を発動します』

 システム音のような声が聞こえると私の周りにバリアが貼られ、巨大な火球はそのバリアにあたる。

 その火球はバランさんに跳ね返る。

「何!? まさか!? ぎゃぁあああ!!」

 巨大な火球をバランさんがもろに食らってしまった。

 あ......もしかして死んじゃった?

 いや、動いている。こっちに歩いてきたぞ。

「はっ......この程度かすり傷だな」

 と言っているものの、鎧はボロボロ。体中傷だらけ。とてもかすり傷には見えない。

「合格だ! ついてこい!」

 だが、一歩踏み出した瞬間にバランさんは倒れてしまった。

 大丈夫かこの人......

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