第16話 投獄

「おい娘!! 今姫様に何と言った!?」

「なんて無礼なやつなんだ!?」

 兵士たちに取り囲まれてしまった。

「し、失礼しました!! ど、どうかご慈悲を!!」

 バランさんが地に膝をつけて必死に謝っている。アヤナのやつとんでもないことをやってくれやがったな。

「「打首なさい!!」」

 3人の姫様たちが声をそろえて宣言する。

 当然と言えば当然だろう。一国の姫様を馬鹿にしたんだからね。

「その者を捕らえよ!!」

 王様も兵士たちに合図を出す。すると兵士たちはすぐにアヤナを捕らえられてしまった。

「いやぁあああ!! まだ死にたくないよぉおおお!!」

 アヤナは叫んでいたが当然聞きいれられるわけもなく連れて行かれた。

 そして残された私たちに王様から話をされた。

「子供たちよ......下がりなさい」

「「はーい」」

 そこにいた姫様たちが奥の部屋に入って行った。

「さて先ほどの娘じゃが無罪放免とはいかんのは分るな?」

「はい。もちろんでございます」

 バランさんは膝をついたまま返事をする。

「先ほどの娘を許してやるためには何か対価を払ってもらう必要がある」

 なんだかとんでもないことをさせられそうな気がする。

「ヤクモ、帰ろうか。アヤナのことは不幸な事故だった。そうでしょ?」

「不幸な事故じゃないですよ!! アヤナさんのこと見捨てるんですか?」

「だって別に仲間とかじゃないし。そもそも今回のことはアヤナ自身に責任があると思うよ」

「え......まあそうですけど」

 アヤナ、君のことは忘れないよ。だって私たちの心の中で永遠に生き続けるから。

 私はそのまま歩きだして帰ろうとする。

「ちょっと待ってくれんか?」

 王様に呼び止められた。まさか私たちにも罰を与えたりしないよね?

「対価というのは魔王の手先を倒してくれるだけでいいんじゃが」

「何だそんなことですか。もちろん引き受けますよ」

 私はすぐに王様の申し出を受け入れた。

 ヤクモは感動して泣いていた。

「マコトさん、あなたなんだかんだ言って、アヤナさんのために......マジ男です!!」

 いや女だけどね。イケメンに会うチャンスを捨てるわけないじゃん!!

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