第10話 策士
「それより何で私にそんなに関わるの?」
「実はギルドの受付のお姉さんに『マコトさんを口説いて討伐に行かせるようにできませんか? このギルドで一番モテるアヤナさんだけが頼りなんです』って言われて頼まれたんですよ」
受付のお姉さんなかなか策士だな......
夏休み決め込んで全く討伐行かないのも何となく悪い気もしてきたし。後方で戦っているふりぐらいしようか。
「分ったよ......じゃあ次の討伐のときは参加するから」
「え? 本当ですか? やっと私の魅力に気づいたんですね」
「それはない!!」
「ひどい!!」
それよりなんだか今日はギルドにいる人が少ないような気がするな。
何かあったんだろうか?
ふと背後に人の気配を感じて振り向く。受付のお姉さん。
「言質とりましたよ。討伐行ってくれるんですよね?」
「え、ええ。次は行きますよ」
「丁度良かったです。今から行ってくれませんか?」
「今日の相手は討伐難度Sのギガントドラゴンでして、戦った冒険者はみんな医療施設に運ばれました」
受付のお姉さんは笑顔のまま淡々と説明をした。
というかさっきさらっととんでもないこと言わなかった?
「えっと、さっきみんな医療に運ばれたって言いませんでした?」
「私そんなこと言いました?」
言いましたよお姉さんとそこを突っ込んでも危険ことには変わりない。
今日は適当な理由をつけて帰ることにしよう。
「すみません。急用を思い出しまして私はこれで失礼......」
「行きますよね?」
笑顔のまま受付のお姉さんは聞いてくる。
出口を見るとすでに何人かの冒険者が逃げられないようにそこで待機していた。
今日は逃がさないってことか......
「はぁ......行きます......」
しぶしぶ承諾せざるをえなかった。
やはり、策士だな受付のお姉さん。
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