第9話 夏休みを過ごしたい

「こちらが魔王軍幹部撃退とマッシュルームドラゴン討伐の報奨金になります......ついでに薬草とキノコの採取の報酬です」

 ギルドのお姉さんがたくさんの金貨を私に手渡す。

 つまりいきなり小金持ちになってしまったわけです。

「マコトさんさすがっすね。それだけのお金があれば遊んで暮らせますよ!!」

 ヤクモは羨ましそうに私が受け取ったお金を見ている。

 ちょっと待ってよ......そんなに大金持ってるなら遊んで暮せばよくない?

 はーい。今から夏休みをとります私!!

「大変だ!! 討伐難度Bのアサシンウルフの群れが村の外に現れた!! 誰か手伝ってくれ!!」

「マコトさん、大変みたいですよ!! 俺たちも行きましょう!! ってマコトさん!!」

 今度は連れて行かれる前に逃げる!! 私は休むと決めたら休むんだ!!


――――翌日

「クソッ昨日はひどい目に遭ってしまったぜ」

「まあでも、そんなに頻繁に強力な魔物が現れるわけでもないしな。たまたま運が悪かったと思うしかねえよ」

 昨日アサシンウルフを倒しに行った人たちだろうか?

 結構ボロボロになっている。行かなくて良かった!! 怪我したくないもんね!!

 なのに何でギルドにいるかって? ここの食事がおいしいからだよ。

「マコトさんこんなところにいたんですか。探しましたよ」

 と勝手に私の隣に座ってくるヤクモ。イケメンじゃない男と話しても楽しくも何ともない。

「大変だ!! 今度は討伐難度B+のクリムゾンベアーが現れたぞ!!」

「マコトさん、また大変みたいですよ!! 俺たちも行きましょう!! ってマコトさん!! またですか!?」

 またも連れて行かれる前に逃げることに成功した。


――――また翌日

「クソッ昨日もまたひどい目に遭ってしまったぜ」

「全くだ。何でこんなに運が悪いんだよ!!」

 昨日クリムゾンベアーを倒しに行った人たちだろうな。

 今日もボロボロになっている。昨日も行かなくて良かった!!

「マコトさん。ここいいですか?」

 知らない女の冒険者が私の横に座った

「えっと? どちらさまですか?」

「私はアヤナといいます!! 先日の魔王軍幹部との戦いでファンになりました!!」

 アヤナはその大きな胸を私の右腕にあててくる。

 生前の私と比べるまでもなく大きい!! なんかムカついてきた!!

「ちょっと離れて!!」

 アヤナを自分から引き離す。

「ちょっとぉ。もしかしてマコトさん照れてるんですか?」

 ニコッとほほ笑む。こいつ私より顔も可愛いじゃないか!!

 なぜですか神様? どうして人は平等ではないのですか?

「大変だ!! 今日は討伐難度B+のガイアリザードマンが現れたぞ!!」

「マコトさん、倒しに......えー!! 逃げてる!!」

 いつも通り私は逃げることにした。


――――そのまた翌日

「うぇっ......ひっく......」

 ギルドに行くとアヤナが泣いていた。

「えっとどうしたの?」

 昨日私が逃げたせいだろうか? でもこの子自身が怪我してなさそうだけど......

「私......私......そんなに魅力ないですかぁ!! 『お前のためなら命かけてやるよ』くらい言ってくれないんですかぁ」

「いや、命かけるとか嫌だし」

「うわぁあああん!!」

 何か変なのに目をつけられてしまった。

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