第7話 BLの戦い

 ギルドを出ると大勢の冒険者たちが村の外へ向かっている。

 いろんなところから絶望の声が聞こえる。

 相当強力な相手なんだろう......

「俺、この戦いで生き残ったら彼女に結婚しようって言おうと思うんだ」

 やめろ!! 言うんじゃない!! それ死ぬやつだから!!

「にゃぁ」

 クロネコが私の前を歩いて行く。

 え? 何? 本当に何かやばいこと起きちゃうの?

「あれがそうじゃないか」

 ヤクモが指差した先に冒険者と対峙するように誰か立っているのが見える。

「私は魔王軍幹部のゴルドーという。魔王様の命に従いこの村を破壊することにした。抵抗しなければ苦痛なく殺すことを約束しよう!!」

 えぇ......殺されちゃうの? 私帰っちゃだめかな?

「ゴルドーさんよ、あんた運が悪いぜ」

「何だと」

 ヤクモはゴルドーを挑発するかのような口調で告げる。

「あんた程度じゃこの人を倒すことはできない!!」

 ヤクモがビシッと私を指さしている。

 ちょ......何言ってんの!! そんなことをしたら私が戦わないといけないの!?

「ほぅ......では貴様の強さ見せてもらおうか」

 周りにいた冒険者たちが私に道を空ける。そしてヤクモに背中を押されるままに進んで私とゴルドーが向かい合うように立たされてしまった。

 私はふと顔をあげてゴルドーの方を見る。

 顔全体のバランスが整っているし、顔立ちもはっきりとしてるし、鼻筋が通っているし、肌もきれいだし、眉毛もきれいに整っている。

 おまけにその青色のキレイな瞳で見つめられたら......

 私こんなイケメンとは戦えません!!

「やっちまえ!!」

 冒険者の1人が私に向かってそう声をかけてきた。

「え? 犯っちまえ?」

 私は生前友達だったリナちゃんに腐教(ふきょう)されていたせいでこの時勘違いしてしまったのだ。

「それはつまり私に攻め(※BL用語)をしろっていうこと?」

「ああ、ガンガン攻めてあいつを倒してくれ!!」

「なっ......あの人を(押し)倒せって言うの?」

「そうだ。あんたにしかできないことだ」

 そうか確かにここにいる人たちはどう見ても美形じゃない。

 逆に私はそこそこかっこいい見た目で転生している。

 私くらいじゃないと絵にならないってことか!?

 知らなかった......異世界ではBLで戦っていたなんて!?

「仕方がない私がやるよ......」

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