第6話 こんにちはドラゴンさん

「グォオオオオオオ!!」

「に゛ゃぁああああ!!」

 私は必死にドラゴンから逃げだした。

 ま、まさか本当にドラゴンが出てくるなんて思わなかった。

 後ろを振り向くとドラゴンが追って来て、口から炎があふれ出してきた。

 その炎は私に向かって近づいてくる。

「はわっ......」

 間一髪で思いっきり横に飛ぶことで回避に成功した。

 しかし、回避したときに無理な動きをしたせいか足をくじいてしまった。

「痛っ......」

 ドラゴンは私の一瞬の油断を見逃さずすかさずもう一度炎を吐きだした。

「しまった!!」

 避けられない。あ、私、死んだわ......

『固有魔法[オートマジックカウンター]を発動します』

 システム音のような声が聞こえると私の周りにバリアが貼られ、そのバリアにあたった炎をそのままドラゴンに跳ね返した。

 黒焦げになったドラゴンが横たわっている。

「え......もしかして倒しちゃった?」

 倒したのはいいけれどこれどうしようか......

 依頼達成にするためにはこれを持って帰らないといけないだろうし。

「何いい手はないかな......そうだ、ステータス」

 ステータス画面が表示される。

 何となく名前でそれらしいものを探すとい空間収納魔法というものがあった。

 使用してみるとドラゴンが魔法で開かれたい空間に吸い込まれていく。

「おぉ~すごい!!」

 巨大だったドラゴンの体は魔法の空間にすべて入ってしまった。

「よし、今度こそ帰ろう」



・・・・・・・・・・・・



「お疲れ様でした。それでは薬草とキノコをお預かりしますね」

 受付のお姉さんに薬草とキノコを手渡す。

「それじゃあ依頼達成ですので......」

「ちょっと待ってください。あとドラゴンも倒したんですけど」

「え?」

 受付のお姉さんの表情が固まった。この人はドラゴンなんて倒すわけがないと信じていたようだ。

 まあ、実際私も倒す気なんてなかったんだけどね。

「俺はあんたが倒してくるって信じてたぜ」

 私のことを未来の英雄って呼んできたおじさんだ。

 すいません。倒す気なんて全然なかったんです。ほんとただのまぐれなんです......

 バン!! ギルドの扉が勢いよく開かれる。

「大変だ!! 魔王軍幹部が現れた!! 戦える冒険者は一緒に来てくれ!!」

「また、あんたの力を借りることになりそうだな」

 おじさんはそのまま帰って行こうとする。

「え? おじさんは戦わないんですか?」

「俺はコックだ!! 戦いは任せるぜ」

 えぇ~おじさんの反応からして熟練の冒険者じゃないの!?

「じゃあ行くぞ!!」

 この後ヤクモに無理やり連れて行かれてしまった。

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