第4話 やっと依頼を受けられる
え? 嘘? まさか強力な魔物の討伐依頼とかじゃないよね?
冒険者たちが見守るなかその依頼書に書かれていた文字は「キノコ採取(食用に限る)」。
はぁ......助かったと胸をなでおろす私の肩を冒険者が掴んできた。
「そんな!? こんな依頼じゃ君の才能が埋もれてしまう!! さあ僕らと一緒にドラゴンを倒しに行こう!!」
「あの......すみません。もう受付してしまったのでマコトさんには依頼をしてもらわないと私が困るので......」
困惑している私に助け舟を出してくれたのか受付のお姉さんは依頼を受理してくれた。
グッジョブですよお姉さん。
「おいおい......お前さん、何を勘違いしているんだ?」
さっき私のことを未来の英雄って呼んできたおじさんがドラゴン退治を申し出たお兄さんを見ながら言った。
「どういうことだ?」
「ここをよく見てみな」
おじさんは依頼書のサブクエスト欄を指差した。
そんな項目あったのか......全く気付かなかった。
「何!? こ、これは......マッシュルームドラゴンの討伐だと!? 討伐難度A+だぞ......」
尊敬のまなざしで周りの冒険者たちは私のことを見てくる。
「(お姉さん! どうしてサブクエストがこんなに強いモンスターの討伐になるんですか? キノコ採取に比べて難易度かなり高くなっているじゃないですか!?)」
私は受付のお姉さんの耳元で小さな声で叫んだ。
「(だ、大丈夫ですよ! サブクエストは達成しなくてもいいですので)」
受付のお姉さんも小さな声で私を落ち着かせるようになだめてくれた。
「ふぅ......なら薬草とキノコの採取に行ってきます!」
私は何となく嫌な予感がしたので足早にその場を立ち去ろうとする。
「待ちな、確か......マコトさんだったな。俺の名前はヤクモって言うんだ。よかったら俺もマッシュルームドラゴンの討伐を手伝わせてくれないか?」
「いや、この依頼は私だけでやります(そんな強そうなドラゴンを倒す気はないので)」
「な、なんだって!? 1人でやるというのか(そんな強そうなドラゴン討伐を)」
そのまま、私はギルドを後にする。
そしてわずかにギルド内での会話が聞こえた。
「俺間違ってたぜ......あの人の力を借りてドラゴンを倒そうなんて......でも、あの人はきっと気づいていたんだ。お前はドラゴンと戦うにはまだ早いってな......」
ここで引き返して違うんだけどなぁとは言えず、薬草とキノコがある森へ向かうのだった。
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