第3話 ギルドカードを発行してもらう

「お、お帰りなさい。早かったですね」

 ギルドの受付のお姉さんが多少ひきつった顔をして出迎えてくれた。

「そういえばまだギルドカード発行の受付の途中でしたね」

 受付のお姉さんは書類を1枚私の前に用意してくれた。

「あとはここに名前を書いていただければ、ギルドカードの発行できますのでこちらに記入をお願いします」

 そういえばこの世界では私は何て名乗ればいいんだろう?

 名前が記入できるってことは自分で決めていいのかな?

 私の名前男でも女でもいけそうな名前だし本名を書いておこうか。

 書類に『マコト』と記入する。

「マコトさんですね。はい、こちらギルドカードになります。あちらに依頼書を掲示していますので受けたいものをこちらに持ってきていただければ私の方で受け付けさせていただきますね」

 受付のお姉さんが指差した方向を見ると、たくさんの紙が貼られた掲示板が見える。

 あの紙1枚1枚が依頼書ということだろう。

 早速その掲示板に向かい依頼内容を見る。

「未来の英雄様は一体どんな依頼を受けるんだ?」

「もしかするといきなりAランクの依頼をするのかもしれないぞ」

 冒険者たちの声が聞こえる。

 同時に私への期待値が高過ぎて本当に困る。

 私は1枚の紙を掲示板から外し、それを受付のお姉さんのところに持っていく。

「これをお願いします」

「はい、受付......え?」

 受付のお姉さんの反応を見て周りの冒険者も気になって依頼書を覗き込む。

「こ、これは!! 薬草採取だと!?」

 そう、私はとりあえずモンスター退治は怖かったので、採取の依頼を行うことにしたのだ。

「ち、違うぞ!! よく見ろ!!」

 冒険者の1人が依頼書を指差す。

 私もその声に反応して依頼書のほうに目を向ける。

 右上に「D5 1/2」というマークがあったのだ。

「これはD5の依頼書の1/2ページ目ということ。つまり2/2ページ目もセットで依頼をこなさないといけない依頼書だ!」

 え? そうなの?

「みんな! こっちにD5の2/2ページ目があるぞ!」

 別の冒険者のその声に反応して冒険者たちは掲示板のほうに集まっていく。

「「こ、これは!?」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る