第16話 神社のキツネのお姉さん(中編)
そうなのだ、夜々さんとの着せ換えっこなのだ。
「で、では、参ります……」
まず、巫女装束の腰ヒモをほどいた。
パンツが見えるかと思ったら、袴の下は白衣で覆われていた。
「じゃあ、今後は私も脱がさせてもらうよ?」
「は、はい……」
夜々さんの手が伸びてわたしの胸元のリボンをシュルリ、とほどいてしまった。
襟元が大きく開く。
「……ふふ」
鎖骨をツゥ、と指先でなぞられた。
「きれいな鎖骨……」
「ぁ……ぅ……」
カーッと耳まで熱くなる。
夜々さんは余裕しゃくしゃくに笑みをたたえている。
「うぅ……」
主導権を握られちゃってる……。
このままじゃダメだ……。
夜々さんには悪いけど、またミーちゃんと着せ換えっこするときのためにも、ここで遅れをとるわけにはいかない……!
「つ、次は、白衣だって取ってしまいます!」
「は~い。どうぞ」
いくら夜々さんでも下着姿になれば少しは態度も変わるはず。
そう思っていたのに……。
「えっ!?」
なんと、白衣の下にまで着ているものがあった!
「これは……なに……? でも、白衣よりも薄い生地で……」
「これは
「下着、なんですか……」
下着といえばパンツとブラしか知らなかったわたしにとって新発見だ。
世界には、こんな下着もあるんだ……!
人間の想像力ってすごい!
「……わっ! すべすべで、ふにふにで、気持ちい~……」
「ふ、ふにふになのは、聖女様が……わ、私の胸に顔をうずめているからでしょ……」
「……はっ!?」
慌てて顔を離すとおっきなお胸がぷるるんと震えた。
「んんっ!」
いけないいけない。
いつのまにか、おっぱいの吸引力に負けてしまっていた。
「……もう」
夜々さんはほんのり頬を赤らめた。
まさか胸に顔をうずめられるとは思っていなかったのだろう。
「じゃ、次は私の番ね」
「あっ……」
両腕が持ち上がる。
夜々さんがわたしのスカートをめくりあげ、ワンピースを上から脱がしてしまったのだ。
「……うん、かわいいね聖女様」
「はうぅっ……!」
ギュウッと目をつむる。
これで、わたしは下着姿だ。
「……聖女様、目がうるんでるね。自分で言いだしたのに、恥ずかしいの?」
「うぅっ……!」
からかうように言われ、目をぐしぐしとこする。
夜々さんは余裕だ……年上の余裕なんだ……。
きっと瑠々ちゃんと毎日毎日こんなことしてるんだ……!
不意に、夜々さんが耳元でささやく。
「ほら、見てごらんなさい。あの子たちもお年頃だから……」
「……え?」
夜々さんの視線の先に目を向ける。
すると、
「…………」
「…………」
「…………」
みんな、ふすまの隙間からこちらをのぞいていた。
顔を真赤にして、でも視線はしっかりとわたしたちを捉えていて、なぜか尿意を我慢しているみたいに体をくねらせている。
「…………ぅ」
み、みんなに見られながら着せ換えっこしてたなんて……。
「や、夜々さん!」
思わず夜々さんの
みんなが、ミーちゃんが見てるのに……。
このまま、主導権をにぎられたまま終われないよ!
「あ、ちょっ、待っ――!」
力いっぱい襟元を開き、その勢いで足元までずり下ろす。
「えいっ!」
プルルンッ
「…………」
「…………」
夜々さんの、たわわに実ったお胸が勢いよく飛び出してしまった。
お股も、わたしの目の前で「こんにちは!」と無防備な姿をさらしている。
「――――っ!!!!」
みるみる全身朱に染まる夜々さん。
「ちょーっ!? なななにしてんの聖女様!?」
「えぇ!? だ、だって下着は!?」
「だ、だから
「ブ、ブラだけじゃなくて、パンツも履いてないんですか!?」
「は、履いてないわよーっ!」
夜々さんは急いで
勢い余って顔に触れた夜々さんのお胸はしっとりと濡れていて、夜々さんだって恥ずかしがっているのがわかった。
「離して! は~な~し~て~!」
「夜々さん! わたしのお洋服を着てください! 着せ換えっこです!」
「うぅ……、そういうルールだった……」
夜々さんはやっと気が付いてわたしのお洋服を手に取った。
「いや、これ胸元のボタン留まらないよ……」
ミーちゃんからもらった町娘のお洋服は、夜々さんが着ると胸元がキツすぎてしまう。
発育がよすぎて昔のお洋服が着られなくなってしまった娘みたいだ。
「ふぅ」
ボタンをちぎってしまわないように、仕方なく大きく胸元を開いて着る。
「ワンピースもミニスカだし、うぅ、お股スースーするぅ……」
そしてしきりにミニスカートの丈を気にし始めた。
キツネのしっぽがスカートを持ち上げてしまい、夜々さんはパンツを履いていないから手で抑えておかないとおしりが丸見えになってしまうのだ。
「…………」
もしかしてこれは、チャンスなのでは?
完全に主導権を握るチャンスなのでは!?
「…………」
静かに夜々さんの背後に回り、やさしくしっぽをつかんだ。
「ひゃんっ!?」
ビクッ、と夜々さんが震えた。
「せ、聖女様!?」
「わたし、知ってるんですよ……瑠々ちゃんもここがダメでした……ここ、気持ちいいんですよね……?」
「え……? え……?」
「ほら、どうですか……? 気持ち、いいですか……?」
「……あっ!? んはっ!」
「んふふ……」
しっぽを指先でなぞり、先端をコリコリし、
あまつさえ、
「ぱくっ!……んっ……じゅる……」
筋を舐め、口にくわえてしまう。
唾液があごを伝い、ぽたりと床に落ちる。
「~~~~っ!!!!!」
夜々さんは背筋をピンと伸ばし、目をつむってなにかを必死に堪えている。
その拍子に胸元のボタンがぴーんと外れて、またお胸があらわになってしまった。
「「「…………っ!!」」」
ふすまの外の三人からも見えたみたい。
ふふ、効いてる……。
今度は耳元に息を吹きかける。
「ふぅーっ……かわいいですよ、夜々さん……カプッ」
「ひゃっ、あ、ああああああっ……!」
お耳を噛むと、膝がガクガクと震えてその場に座り込んでしまった。
「あ、あう、ああああああああ……」
天を仰いで放心状態だ。
よだれまで垂らして、よっぽど敏感だったみたい。
「夜々さん……」
夜々さんは動けなくなってしまった。
これで夜々さんのお着換えは完了、次はわたしの番だ。
「…………」
少し待ってみたけどやはり夜々さんは復活してくれないので自分で袖を通していく。
下着の上から
夜々さんの体温と……これは汗、なのかな。
「はぁ……はぁ……」
中に手を突っ込んでブラを外してしまう。
こうすれば夜々さんみたいにみんなの前で裸になることもない。
パンツも脱いでしまおうか迷ったけど、夜々さんもスースーするって言ってるし、これから出かけることを考えて、下は履いておくことにする。
白衣と袴をしっかりと身に着け、腰のヒモをキュッと結ぶと、
「――うん!」
月教会とは違うけど、神様に仕えるふつうの女の子。
どこに出しても恥ずかしくない、りっぱな巫女さんだ。
「ふふっ♪」
大きく開いた袖をヒラヒラさせてみる。
このゆったりとした感じがすっごくかわいくていい感じ!
ガラリ、とふすまを開いた。
「ね、ね、どうかなミーちゃん?」
「…………」
「ミーちゃん?」
「あ、あ~、う、うん……」
ミーちゃんは首をブンブン振った。
それにつられるようにベルちゃんも瑠々ちゃんもハッとして我にかえった。
「どうしたのみんな?」
「い、いや~、なんでもないけど……」
「あぁ……、尊いですわ……尊いものをみましたわ……」
「え?」
「あ、姉上……まさか聖女様とあんなことを……」
「む~……」
誰もちゃんとわたしを見てくれない。
「もう! お着換えしたんだよ!?」
「あ、ごめんごめん」とミーちゃん。「うん、似合ってるよ。さすがは聖女様だね」
「ええ、大変かわいらしいですわお姉さま」
「あ、は、はい! あ、姉上よりも全然巫女に見えます!」
「えへ……えへへへへへへへっ……!」
やっぱり、お着換えをほめられるのってうれしい。
「でも姉上、月の聖女様なのに神様にお仕えする衣装なんていいのですか?」
瑠々ちゃんが夜々さんに肩を貸しながら聞く。
「だ、だいじょうぶよ瑠々……、う、うちの神様はそういうの気にしないから……」
夜々さんと目が合うと、夜々さんはフ、と笑みをこぼした。
「や、やるじゃない聖女様……私の負けね……。いいわ、ご褒美にアレも貸してあげる……」
「……え? アレ?」とわたし。
……アレ?
「――じゃじゃ~ん! 刀まで借りちゃった!」
目の前に掲げるとギラリと光った。
よくわからないけどいいものっぽい。買ったら高そうだ。
「刀? 巫女なのに刀?」
ミーちゃんが首をかしげた。
「それは神器、
夜々さんが話を引き取った。
「いつもは偉そうに鎮座ましましてるんだけど、こんなときくらいは役に立ってもらおうかと思って」
「やっ! たっ! とぉっ!」
ブン! ブン!
本当に『巫女さん』で刀を扱えるのか、試しに素振りをしてみた。
すると力強く、鋭く振ることができる。
うん、たしかに巫女さんに刀って合ってるみたい!
*
「では、行って参ります!」
「が、がんばってね……」
夜々さんに手を振って、瑠々ちゃんも交えて神社を後にする。
村を浄化するために、御神体となっている山頂の岩を浄化するんだ!
「…………」
腰に刀を携え、まるでお侍さんになったみたいな気持ちで険しい顔をして歩いてみる。
巫女さんなのにお侍さんなんて少しややこしいけど、でも戦う巫女さんなんてすっごくカッコいいしドキドキする!
「ワクワク! ドキドキ!」
もし敵が現れたって、この戦う巫女さんが一刀両断!
怖いものなしだ。
――と、このときのわたしは思いもしなかった。
まさか、お股をスースーさせながら刀を振るうことになるなんて……。
(つづく)
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