第389話 後始末と約束

 それから僕たちはアフロディテを捕らえて、悪さができないように死後の国の牢屋みたいなところに閉じ込めた。

「これでめでたく先輩の思い通りになったということですか......おめでとうございます」

 アフロディテは完敗したせいかすがすがしい笑みを浮かべて牢屋の壁にもたれかかっている。

「いえ、まだですよ。私にはあなたがやったことの後始末が残っています。全く......ただでさえ人手不足だと言うのにこんなことしてくれましたね......」

 ディオネ様は自身の頭を押さえて首を横に振った。

 アフロディテはヒロトの力を使って女神たちを操り、転生・転移をさせるためだけに意思を奪って働かせ続けた。その代償に意思を奪われていた女神たちは肉体的・精神的に疲れ果ててすぐに女神の仕事には戻れないようだ。

「ディオネ様、私も女神に戻り微力ながら協力させていただきます」

 メルダリンは自分の胸に手を当てて使ってくださいとアピールしている。

「いやいや......そんなにほいほいと女神になったりはできませんよ? やめるのは簡単なんですけど?」

「え? そうなんですか?」

 メルダリンはディオネ様の言葉に目を丸くして聞き返した。

「はい。もう一度女神に戻るためには最低でも1万年ほど年月がかかります」

 あの、ディオネ様......それってつまり1かやり直しってことじゃないですか!? とはメルダリンが可哀そうなので言わないことにしてあげた。

「そうですか......分りました! これから頑張って修行することにします!」

 しかもメルダリンも女神に戻るのかよ! 本人がやりたいならいいけど......陰ながら応援してあげるよ......

「ちょっと君! 確かアイネとか言ってたよね?」

 僕は肩を掴まれたので振り向くとそこにはマコトが立っていた。

「何? 今忙しいんだけど?」

 忙しいのは僕じゃなくてディオネ様じゃないのかって? 細かいことは気にしないでくれよ。

「イケメン紹介してくれるって言ったよね! 約束が違うじゃない!」

 マコトは腕を組んで怒りをあらわにしていた。

 そう言えばそんな約束もしていたな......え? 忘れてたんじゃないかって? そんなわけないよ。主人公は約束を守るものだからね!

「イケメンは逃げないから安心してよ。ちゃんと後で紹介するから......」

「絶対だよ!」

 マコトはとりあえずこの場は引き下がってくれた。

 それより優先すべきは僕がディオネ様としていたあの約束を一刻も早く果たしてもらう必要がある。今も苦しんでいる親友のために。

「ディオネ様、ダイスケを助けてくれませんか?」

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