第388話 勝負の結果は
決着の結果を教える前に改めて僕とヒロトの能力を説明したいと思う。まず、僕の能力『乙女ゲー主人公』は女しか能力を持つことはできず、その能力をかけることのできる相手は男のみ。反対に『ラノベ主人公』の能力は男しか能力を持つことはできず、その能力をかけることのできる相手は女のみ。例えば、僕の能力『乙女ゲー主人公』は女の体でないと男を魅了できないから、能力を取得するためには体は女である必要があったのだろう。そして今こそ読者のみんなに秘密にしていた作戦を教えよう......もし、敵が僕に対して『ラノベ主人公』の能力を使ったとしたらどうなると思う? 確かにこの体は女の子の体だけれど、おそらくこの能力は魅了という心に干渉する能力。つまり心が男である僕に使った場合は無効化されるというわけさ。
「ぶひぃいいいいい! アイネ様ぁ、何なりとご命令ください!」
ヒロトは犬のように舌を出して僕の前に移動しておねだりをし始めた。ヒロトが動けているということはアフロディテの動けなくした能力を、僕の能力で上書きできたということだ。
「これはどういうことですか!? ヒロトの方が先に能力を発動できたはずです!? なぜ効いていないのですか!?」
アフロディテは驚きを隠せない表情で後ずさりをしている。
「アフロディテ、人間を家畜のような存在だと思い、無力な存在と決めつけないがしろにしてきたあなたの負けです」
ディオネ様はアフロディテの肩に手を置いた。しかしアフロディテはすぐさまその手を振り払った。
「ちょ......調子に乗るな! こっちには女神長の指輪がある! これで勝ったと思うな!」
おっとキャラ設定はどこにいったのだろうかと思うほどアフロディテは取り乱しているぞ。ここは主人公らしく決めさせてもらおうか!
「アフロディテ! お前の負けだ! さあ、ヒロト! アフロディテに女神長の指輪を渡すように能力を使って従わせるんだ!」
「ぶひぃいいいいい! 承知しましたご主人さま! 覚醒能力『ラノベ主人公』......女神長の指輪を渡してもらえますか?」
従順な下僕となったヒロトはアフロディテにすぐさま能力を使う。
「どうぞ......」
アフロディテは自身の指から指輪をはずしてヒロトに渡したので、僕はその指輪を手に取りディオネ様に渡した。
「ディオネ様、これで僕たちの完全勝利......」
「ぶひぃいいいいい! ご主人さま! ご褒美をください!」
僕の決めゼリフを遮るようにヒロトは鞭を僕に差し出した。
いつの間に鞭を持ってきたんだよ!? いやそんなことより能力を解除して......
「いえ、もうしばらく能力を使ったままにしておいてください。今解くとアフロディテが何をするか分かりませんから。どうぞこちらを......」
ディオネ様はヒロトの手から鞭を取り上げ僕に手渡す。
「え? 何どういうこと?」
「さあ、思いっきり1発やっちゃってください!」
ディオネ様は期待の眼差しで僕を見つめる。
なるほどそう言うことね......ああ、もういいよ! やればいいんでしょ!
その後、僕が鞭を1発おみまいすると心地悪いヒロトの叫びが響いたのであった。
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