第379話 馴れ初めを聞いてみよう

 抱き合ったシーンから次に進む様子がないぞ......そろそろ読者の人たちも気になっていることだろうし例の件について僕が質問しよう。

「あの、そろそろマコトとタマの関係的なことを話すシーンじゃないの?

「マコトちゃんとの関係が聞きたいのかにゃ?」

 タマはマコトから体を話しこちらを振り向いた。

「一言でいえばペットと主人ってところだけどそんなことが聞きたかったの?」

 マコトは首をかしげながら聞き返してきた。

 ......僕も大体予想はしてたけどね! 前世が猫だからそうでもない限り関係なんてほとんどないだろうし!

「ほらでもタマは生まれ変わってまで会いたがってたわけだしもうちょっと何かエピソードとかあるんじゃないの?」

「人のプライベートを聞きたがるなんてデリカシーのないやつだにゃ」

 タマに怒られてしまった......人じゃなくて猫でしょって突っ込みたいけどますますデリカシーないやつとか言われそうなので黙っておこう。

「いいんじゃない? 話しても。隠すようなことじゃないし」

「マコトちゃんがそう言うなら......あれはある大雨の日だったにゃ。車にひかれて重傷だった私は血を流しながら道路に横たわっていたのにゃ。『ここで死ぬんだにゃ』と私は思いながら目を閉じたら、女の子の『大丈夫? すぐに病院連れて行ってあげるからね!』という言葉とともに私の体を抱きかかえてすぐに病院に連れて行ってくれたのにゃ。そして病院で怪我の治療をしてもらった後、私はその女の子と一緒に暮らすことになったのにゃ。もちろんその女の子とはマコトちゃんのことなのにゃ」

 マコトに促されてタマは一通り説明してくれて......あれ?

「結局また会いたかったのは何でなの?」

「分らないのかにゃ......それは」

 タマはマコトの両手を握りしめながらマコトの目をまっすぐ見つめる。

「助けてくれてありがとうなのにゃ。そう......直接言いたかったのにゃ」

「お姉様! なかなか感動的なエピソードですね!」

 アリスはハンカチを目に当てて涙をぬぐっていた。女の子にセクハラすることしか興味ない変態かと思ってたけど普通の感性も持ち合わせていたんだね。

「タマ! それじゃあ私と一緒に幸福ユーフォリア計画を成功させて私とタマの幸せな未来を手に入れよう!」

「マコトちゃん、分ったのにゃ!」

 タマは右手を挙げて賛同す......あれ? 説得するどころか説得されてない?

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