第377話 鍛えてますから

「油断大敵ですわ! 私はどんな女の子でもスカートを覗けるように早く動く訓練をしていたのですわ!」

 動機が不純なのは今はさておき......アリスはマコトの頭に右手を伸ばしているが頭に右手が......届いていないじゃないかよ! たぶん記憶を消す能力を使おうとしているんだろうけど身長差で使えない場面があるとは!?

「えっと? もしかして私の頭を触ろうとしているのかな?」

 マコトは必死そうにしているアリスを不憫に思ったのか声をかけてくれた。

「ええ、そうですわ。できれば頭を下げていただけると助かりますわ」

 いや、無理があるって! 明らかに頭を触って何かしようとしているのバレバレなのに触らせてくれるわけないでしょ!!

「よく分らないけどこれでいいかな?」

 マコトは屈んでアリスの右手が頭に届くようにしてくれた。

 もしかして、このマコトって人......馬鹿なんじゃないだろうか?

 すかさずアリスは右手をマコトの頭に触れる。

「記憶を消させてもらいますわ! アフロディテと出会ってからの記憶をすべて!」

 よし! ナイスだ! アリス! これで記憶をなくせばマコトは僕たちと戦う必要がなくなるから勝ったようなもんだ!

『固有魔法[オールアブノーマルレジスト]を発動します』

 システム音のような声が聞こえた後、マコトは閃いたように人差し指を立てて尋ねてきた。

「なるほど......記憶を消す作戦だったんだね。残念だけど私にはそういう能力は効かないから」

「お姉様! この人チート能力持ちですわ!! チート能力持ちなんてずるいですわ!!」

 アリスが頬を膨らませてマコトを指差して文句を言い始めた。

 自分もチート能力持ちのくせに......

「マコト君には異常状態耐性もあるし、魔法耐性もあるし、近接戦闘では聖剣デュランダルの能力のおかげでまず勝てない。ちなみに剣を取り上げると物理攻撃を反射する能力が発動するから攻撃をしない方がいい」

 ユウは戦闘の解説役のポジションみたいなことをし始めた......って!

「いや、それ一言でまとめると無敵ってことじゃないか!?」

「そうだね。倒すのはまず無理だから説得した方がいいと思うよ」

 ユウ......そういうことは先に言って欲しいところなんだけど?

「そういうことなら私に任せるのにゃ」

 タマが僕たちの一歩前に出て説得役を買って出てくれた。

 ついにマコトとタマの過去の馴れ初めが聞けるのだろうか?

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