第375話 もしかして弱いんじゃないだろうか?

「本当にマコトちゃんなのかにゃ?」

 タマが驚いた表情で尋ねる。当然と言えば当然だが前世のあの女の子らしい姿の影も形もないのだからそう尋ねてもおかしくはない。

「そうだけど? えっと? 誰かな? いや......誰でもいいか。あなたたちが人間を滅びの道を回避する選択肢を潰すそうというのなら......」

 マコトは腰の剣を抜いて構えた。

 僕には戦闘センスとかそういうのはないけれどただものじゃない雰囲気は感じ取れる......この人はまちがいなくできる! 戦闘センスがないなら気のせいだろって......? 細かいことを気にするのはなしにしてよ!

「あの、お願いするので戦いをやめてもらえると嬉しいんですけど?」

 おっとこれは予想外の展開だ。もしかして意外と強くないんじゃないかな? そうでなくても向こうはマコトとアフロディテの2人に対し、こっちはディオネ様、メルダリン、ユウ、アリス、タマ、スザク、マロン姫の7人もいる! 圧倒的人数差があるからこっちの方が有利なはずだ! え? アスカと僕が人数にカウントされていないって? アスカは戦力外、僕はそう......切り札だからね!

「期待しているところすみませんけど私も戦いませんよ?」

 ディオネ様がまた僕の心を読んで決め顔の僕を覗き込むように顔を近づけた。

「ディオネ様、大丈夫ですよ! ディオネ様が戦わなくても人数的有利は変わりませんから」

「へぇ? じゃあもっと有利になるように私はマコトさんの戦いに手は出さないと約束しましょう」

 アフロディテは余裕の見える笑みを浮かべていた。

 ......つまり1対7! アフロディテの表情は気になるけれどこれだけの人数差なら負けるはずもないだろう!

「分かりました! じゃあこっちも私1人で十分ですよ!」

 戦力が......アスカは腕まくりをしてマコトの前に立った。

 いや! 何で1人で十分だと思ったんだよ!?

「えぇ!? 本当に戦うんですか!? しかも私1人で! 私怖いの嫌なんですけど!?」

 マコトはアスカを見つめたたまま後ずさりをした。

 ......というかこのマコトって人強いんだろうか? 意外とアスカだけで倒せるんじゃないかと思えてきたよ。

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