第369話 友達っていいよね

「では正式な買収の決定についてご連絡いたします」

 メイド長は一礼をすると部屋から出ていった。

 これでマスカット王子の国ももっと平和になるといいな。そして、ミカンみたいな暮らしをする人が少しでも豊かな暮らしができれば......そういう考えをする僕って意外と王様向きなのかな?

 そんなことを考えていると少し笑みが漏れてしまった。

「ところで、アイネちゃんはお友達はたくさんできたかしら? メイド長からの報告であまり家に友達を呼ばないって聞いたから」

 王妃様は心配そうな顔をして頬を手を当てていた。

 メイド長はそんなことも報告しているのか......確かにこの世界で友達って少ないな......え? この世界だけじゃなくても少ないだろって? 余計な御世話だよ!

「友達の私が遊びにきたわよ!」

 ちょうどいいタイミングと言うべきかコロネがドアを開いて空気も読まずに入ってきた。

「失礼します。コロネ様! 勝手に走り回られては困ります」

 追いかけてきたサーシャも一礼して部屋に入ってきた。

「「ア、アイネちゃんに友達が家に!?」」

 国王様と王妃様は口元を覆うようにして手で押さえて涙を流していた......って僕はどれだけ寂しいやつだと思われているんだろうか?

 コロネも何となく察してくれたのか服を整えてスカートをたくしあげた。

「お初にお目にかかります。アイネの友人のコロネと申します。以後お見知り置きください」

 まるでどこかの貴族のご令嬢のように挨拶をし始めたコロネ......いや実際貴族っていうか一応お姫様なんだけど。

「ところでクララさんは元気? あの後どうなったか心配で......」

 僕はコロネの耳元に近づき、小声で確認した。

「クララならあそこに居るわよ」

 窓の外の木を指差すと双眼鏡でこちらを覗いている不審......クララさんがそこにいた。いつも通りの元気の姿でね。

 ......というか普通にコロネのそばに控えていればいいのに......

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