第368話 相変わらず甘いみたいだね
顔がチクチクする。あるものが僕の頬に当たっているからだ......え? 何が当たっているかって?
「アイネちゃん、パパ寂しかったよ。今日は一緒に寝ようね」
そう、国王様が僕の頬に髭をこすりつけているのだ。
「国王様、明日は予定がありますので本日中に本国へお戻りください」
国王様、王妃様付きの執事であるセバスチャンが一緒に寝ることだけは阻止してくれたようだ。できればこの状況もやめさせて欲しいところだ。
「ちょっと! やめなさい! アイネちゃんに加齢臭がつくでしょう!」
王妃様が国王様から僕を奪い取り、柔らかな2つの丸いものの感触を僕の頭に押しあてながら抱きしめた。え? 柔らかな2つの丸いものの感触が何かちゃんと説明しろって? みなまで言わなくても分かる出でしょ? ラノベによくある展開のあれの感触だよ!
「ち、ち、ち、ち、違うし! 加齢臭なんて絶対ないし! 今朝だって念入りに1時間くらい香水を吹きかけたから絶対ないし!」
国王様は僕が知りたくもない事実を暴露し始めた。
......というかそれはそれで香水臭くなるのではないだろうか?
「あのさ、今日はパパとママにお願いがあるんだけど......」
「も、もしかして欲しいものがあるの? もしかして別荘が欲しいの? 何個くらい欲しいの?」
王妃様は子供におもちゃでも買ってあげるかのような感覚なのだろうか? と言うか別荘をいきなり何個も要求するわけないでしょ! でも金額的には近いおねだりになるのかもしれないな......
「あ、いや......そうじゃなくてマスカット王子の国を買うのどうかな? ほらあそこの国財政難なところもあるし......」
「「買ってあげる!」」
国王様と王妃様は声をそろえて許可してくれた。
予想通りすぎる展開なんだけど......適当に決めてないか確認しておかないと。
「え? あの自分で言っておいて何だけどそんなに適当に決めてもいいの?」
「そのことなら心配ないよ。あの国はマスカットはブランド物で数多くの諸国に気に入られている。しかしこのままでは国が崩壊し、マスカットが消えてしまうのも時間の問題だと思って何か改善策はないか考えていたところだったんだよ」
国王様もちゃんと考えた上での結論だったようだ。それにしては即答だった気もするけれど......
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