第361話 女神ですから
「マコトさん......ああ、魔王と戦った彼......いや彼女のことですね」
アフロディテは顎に手を当てて考える様子を見せた後、閃いたように呟いた。
死ぬ前は女、死んだあとの世界で男として生きてきた人物。経歴が厄介なだけに彼と呼んでいいのか彼女と呼んでいいのか悩むところだね。僕も人のこと言えないけど......
「知ってるのかにゃ?」
「ええ、もちろん。女神ですからね。もしかして先輩も知っているんじゃないですか?」
タマの問いに笑顔でアフロディテは指差し確認をする。
「私は知りませんよ?」
「えぇ!? 知らないんですか? 女神なのに? もしかしてお仕事さぼってたんじゃありませんか?」
口元に手を当てて人を小馬鹿にしたようにこちらを見ていた。対してディオネ様は瞳にうっすらと涙をためて悔しそうな表情を浮かべている。
「仕事も何もあなたたちが私を追い回すからそれどころではありませんでした!!」
どうやら我慢できなかったようだ......ディオネ様は盛大に突っ込みを入れた。
「そう言えばそうでしたね。ではマコトさんの件は私が教えてあげましょう。彼女はこの女神の世界に居るのです。ちなみにタマさんも会いたいと思いましたので呼んでおきましたよ。もうしばらくしたらこちらに来ますよ」
「本当かにゃ! とっても良い女神様だにゃ!」
おっとタマをアフロディテに取りこまれてしまったようだ。ディオネ様、人望......いや女神望がな......おっとディオネ様に睨まれているのでこれ以上の思考はやめよう。
「他に質問ありますか?」
「はい!」
「ではマロンさん!」
学校で教師が手を挙げた生徒に答えさせるかのようにアフロディテはマロンにどうぞと手を差し出した。
この子も女神(ニオベの方だけど)に運命を変えられた1人だ。きっと、その過去の因縁について聞きたいことがあるのだろう。
「次に生まれ変わったらまたパパの娘に生まれたいです! どうすれば生まれさせてもらえますか?」
力説でもするかのようにマロン姫は拳を強く握りしめた。
......その質問は今する必要があるのかな?
「マロン! そんなのダメだ! マロンのパパにオレが生まれたいんだ!」
スザクはマロンの肩に手を置いて首を横に振りながら言う。
......それマロン姫と言っていること同じだからね? というか2回目だけど......その質問は今する必要があるのかな!?
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