第360話 探し人を求めて
「ねえ! もしかしてアフロ......」
「もしかしてアフロディテはいい女神じゃないの? とか言いませんよね? 君の友達に何をしたか忘れたのではありませんよね?」
ディオネ様は僕の言葉を遮って険しい表情で僕を見た。
......分っているよ。この女神は赦しちゃいけない......決して見た目が受付のお姉さんで優しそう見たからとか断じてないからね!
「はぁ......そんなに睨まないでくださいよ......先輩」
アフロディテはさっきよりも砕けた感じで話しかけてきた。
「先輩? 先輩なの?」
僕はディオネ様とアフロディテを相互に指差しながら確認する。
「え、えぇ......まあ不本意ながらこの子は後輩で......って今はそんな話どうでもいいんじゃないですか!?」
「何言っているんですか? 久し振りの先輩後輩の再開なんですからもっと喜んでくださいよ!」
警戒するディオネ様にアフロディテは冗談を言う時みたいないたずらっぽい笑みを見せる。
この人......いや人じゃなくて女神だけど......前回あんな仕打ちをしておいてなかなか神経が図太いようだ。
「ごちゃごちゃ五月蠅いな! さっさとお終いにしてやる! もっともこの人数差で勝負になるとは思えないけどな!」
悪魔のような笑みを浮かべてニヤリと笑うメルダリン。
悪役としてのオーラが相変わらず容赦ないけど......っていうかこっちが悪役っぽく見えるからあんまり変なこと言わないでくれるかな?
「まあまあ、折角他の人たちがいないところに来たんですからちょっとお話でもどうですか? ここで戦い始めたら最終章これで終わっちゃいますよ? それに戦う前っていろいろ聞いたりすることとかあるんじゃないですか?」
アフロディテ両手をこちらに受けなだめるように提案してきた。
......分っているじゃないかラスボスさん。さて何を質問しようか.......?
「マコトちゃんはどこに居るんだにゃ?」
「ちょっとタマ! ほらよく見て! 相手はラスボスだよ! ここはさ......何で人間を苦しめるんだ!? とかそういう感じの質問をするものじゃないの!?」
僕はタマの場の空気を読まない急な質問に突っ込みを入れた。
「私の初期設定のマコトちゃんを探すという伏線が回収されていないから許して欲しいのにゃ」
そんな初期設定あったようななかったような......まあタマが自己主張するのも珍しいから見逃してあげよう。
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