第358話 手がかりは足で掴むもの
「それじゃあ、ちょっとした話題で場も和んだところで、とりあえずあっちの人が集まっているところに行きましょう。アフロディテについて情報を集めましょう!」
ディオネは先陣を切って進もうとする。
......というか場を和ませるという理由で恥ずかしい話をされるとかスザクとマロン姫、ドンマイ!
「え? ちょっと待って......ディオネ様は女神なんだしどこに居るかとか分らないの?」
僕は呼び止めるように声をかける。
「いやいや、女神だからって何でもできると思っちゃだめですよ? ほら、そういうことって女神同士だってプライバシーの問題とかありますから」
異世界転移特典の能力とかで人間のプライバシーとか完全に無視しているくせに今更プライバシーとか......おっとディオネ様が笑いかけているぞ。もちろん怖い方の笑いだけど......今は下手なことを考えるはよそう。ディオネ様に考えを読まれるのがおちだ。
「うんうん。理解してもらったところでさっそく調査開始しましょう!」
「「はい!」」
ディオネ様の合図に僕たちは返事をし、散り散りになって聞き込みを開始する。
「さて僕は同調べようかな?」
手っ取り早く調べるなら聞き込みか? だけどその辺に居る人たちは死人の人だから知っているわけないよね。かといってここで働いている人たちは操られているか女神関係者のどちらかの可能性が高い......つまり聞き込みをすると危険じゃないだろうか?
「すみません! この辺りに女神さんいませんか!? この私が直々に成敗しに来ましたよ!」
おっと早速アスカというアホな子が何の考えもなしに叫んでいるぞ......敵陣の中心で宣戦布告しているようなものなんだけど?
「まあ、少し騒がしい方が来ましたね。他の人に迷惑がかかるのであのようなことはやめていただきたいのですが」
後ろから声が聞こえたので振り向くと受付のお姉さんが頬に手を当てて困ったような顔をしていた。
「すみません。お姉さん、アレ黙らせてきますから、ちょっと待っててください!」
僕はペコペコしながらその場を立ち去ろうとする。
「ちょっと待て! そいつがアフロディテだ! 見つけたぞ!」
メルダリンは受付のお姉さんを指差して睨みつけた。
「見つけた......その言い方はおかしいですね? 私は隠れているつもりはなかったんですけどね?」
お姉さんは口を大きく開いて不気味な笑みを浮かべたのだった。
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