第357話 死後の国再び
光が消えるとなんだか懐かしいような景色が広がっている。そうここは死後の世界。僕がアイネ姫になる前に最後に居た場所だ。
いよいよ女神との決戦。気を引き締めて戦わないと......ん? 僕はあることに気がついたのだ......え? それは何かって?
「あの......ディオネ様、何でこの場にはディオネ様、メルダリン、ユウ、アリス、タマ、アスカ、僕しか居ないんですか?」
僕は冷汗をダラダラと流しながら尋ねる。戦力激減しているじゃないか!!
「ええっと......まず転移者じゃない人は連れて来れないのと、あと着いて行きたいという意思を持っている方のみ転移させました。まあ、強制的に転移させることもできますけど私は慈悲深い女神ですからね」
ディオネ様は舌をちょっぴりだけだして自分の頭を軽くコツンと叩いた。
年齢がいくつか分らないけど若い娘でもないのにそんなことをするのはやめて......夫背後からおぞましい気配を感じるぞ?
「言ってませんでしたけど私は心を読むくらい簡単にできますからね?」
ディオネ様が笑顔で僕の肩に手を乗せてた。
この人の前で下手なことを考えることはできないようだ......それより結局着いてきた人たちのほとんどは僕たちの戦いを理解している人しばかりだ。ある1人を除いてはね......
「何でアスカは着いて来たの?」
「え? 何でって面白そうだからに決まっているじゃないですか!」
アスカは胸を張って自慢げに鼻息荒くしている。
この子は役に立たなそうだな......いやでもメイド長の時には一番活躍していたし......
僕は普段のアスカとのギャップに頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
「まあまあ、仲間は多いに越したことはないと思いますよ? それから新しい仲間を紹介します! あちらの2人です」
ディオネ様が手で示したところに体育座りで顔に両手をあてて仲良く並んで座っている人達がいた。
「え!? スザクとマロン姫!?」
さっきニオベに殺されたはずの2人がなぜかそこに居たのだ......いや、でもここは死後の国だし居てもおかしくはないか......
「......ところであの2人は何であんなことしているの?」
僕は隣に居たディオネ様の方を振り向いた。
「あれですか? ほら、マロンさんが死ぬ前に『パパ、ごめんね......』とか言っていたじゃないですか? で、こっちに来てからも何かその続きをし始めたんですよ。スザクさんが『いや、オレもあの時マロンを救えなくてごめんな』とかマロンさんも『次に生まれ変わってもパパの娘に生まれたい』とか......」
「「やめて! 話さないで!!」」
ディオネ様が事細かく話そうとしたのでスザクとマロン姫が顔を真っ赤にして声をそろえて止めようとした。
見られていたのがよほど恥ずかしかったのだろう......
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