第354話 取り替えて差し上げようかと思いましたのですわ
「私からも質問をいや......やってもらいたいことがある!」
メルダリンはメイド長に近づき、見上げるようにして顔を見た。
「何のことでしょうか?」
「この世界と他の世界の交流を断絶しているな......それを解除しろ!」
冷静なメイド長に対してメルダリンは好戦的な態度のまま命令をした。
僕の最初の目的であるアフロディテに会うためにはこの世界から出る必要がある......僕にとってもこれだけは解除してもらわないといけないな。
「それは拒否します」
メイド長はメルダリンの要求を悩む様子もなくバッサリと切り捨てた。
何でメイド長は拒否したのだろう?
いつものようにメイド長は僕の考えを読み、疑問に答え始める。
「簡単に言えば危険を避けるためです。異世界と言うのはこの世界以外にも存在します。仮にですが他の異世界から多くの能力者たちがこの世界に乗りこんできたらどうでしょうか? この世界は戦いの力を持った異世界転移者は少ないので多くの人が危険にさらされてしまいます」
そうか......言われてみればそうだ。あれ? だったら何でユウはここに来れたんだろうか?
「ワールドオーナーの権限よりも高位な女神の力による転移は許可されています。姫様がここに来れたのもそれが理由です」
......あれ? これじゃあメイド長って悪い人どころか、この世界を守るいい人じゃないか!?
「だからこそ君を倒さなければならない!」
ユウは仕込みナイフでメイド長の喉元を狙い再び刃を向ける。
「ナイフを持っていなかったことにする」
メイド長はユウのナイフを指で指し示すとナイフが消えてしまった。
「ユウ! さっきのメイド長の話聞いてなかったの!? メイド長は悪い人じゃないないんだ! 何で攻撃するんだよ!?」
「アイネ君、よく考えるんだ。確かにこの人は悪い人ではない......でも女神はあらゆる異世界を支配できるという事実は変わらない。だから君をこの世界から脱出させる!」
ユウの目的は僕をこの世界から脱出させることだって!?
「......そうですか。では仕方ありませんね本意ではありませんが、今はメイド長としてではなく、ワールドオーナーとして排除させていただきましょう」
メイド長はユウを敵として睨みつけ構えるのだった。
えぇ!? せっかく一件落着みたいな感じだったのに何で戦いが始まるんだよ!? 何か......何か......やめさせる手は? あれ? アリスがトメのそばで何かやっている。
「何やってんの?」
「いえ......色気のない下着だったのでこっちのパンツに取り換替えて差し上げようかと思いましたのですわ。なのにこの人ってばすごく抵抗するのですわ」
アリスは布面積の少ないパンツをこちらに見せるように両端をつまんでいた。
「ふざけるな! そんな恥ずかしいもの誰がつけるか!!」
トメは必死に足をばたつかせて抵抗を見せている。アリスは平常運転ではあるが、こんな状況で何をやっているんだか......
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます