第350話 ワールドオーナーの正体
ワールドオーナー......昔のことのように思えるし、忘れている読者もいるかもしれないからここで復習しておこう。能力その1『この世界のあらゆるものの存在を書き換える能力』、これはかなり厄介だ......痴呆にでもされれば一瞬でアウトだ。能力その2『世界を見渡す力』、この世界の住人の目を通してあらゆる場所を見ることができる能力......この場に居るってのが本当なら別にこっちの能力は厄介でも何でもない。
僕が説明をしているうちに
まさか......
「ところでワールドオーナーって何ですアルか?」
知らないから質問しに来ただけかよ!! というか逆に知っている側の人間の方が少ないんじゃないだろうか?
「これはまずいのにゃ! もしこの場にワールドオーナーがいるとしたらあいつがワールドオーナーと見て間違いないのにゃ!」
タマは警戒をしながら後ずさりをする。僕の記憶を見たタマは痴呆にされてしまうかもしれない......そんな恐怖を持っているのだろう。
「タマ、何でそんなことが分かるの?」
「前に言ったにゃ! パジャマパーティーの時に私の能力を無効化したやつがいるとにゃ!」
パジャマパーティーの時にいた人物......思い出すんだ、僕! この場とあの時に居たメンバーはタマと......そうだトメ! いや、あれはワールドオーナーなんて勤まりそうにないな。間抜けだし! となると.......あと1人、そうこの場にはあの時いたメンバーがもう1人居るのだ。
僕は右手を背中に隠し、能力殺しの短剣を右手に出現させた。そして思い立ったある人物に近づく。
......なぜだろう? 1回しかつかえないこの短剣を今使うべきだとなぜかそう思える。自分でもよく分らないけれどなぜかその人物がワールドオーナーだと確信が持てるんだ。
僕はその人物の背後から一気にその短剣を突き刺そうと手に力を込めた。
「正解です......姫様」
気に寄りかかり気絶をしていたはずのメイド長は僕の右腕を捕まえた。刀身はメイド長まで届いていない。
「お姉様? どうしたのですか? もしかしてそれは!?」
アリスには以前にちょっとだけ能力殺しの短剣について話したことがあるので気づいたようだ。
「アリス! 逃げ......」
僕が言い切る前にメイド長は僕の右腕を持ったまま短剣をアリスに刺した。そして短剣は結晶が砕けるようにして消えてしまった。
「お忘れですか? 私は主人......つまり姫様が何を考えているのか分かるのです」
メイド長がワールドオーナー......心のどこかでずっと考えていたのかもしれない。そうでないことを信じて。
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