第347話 二度目の不意打ち
「鳥面の男! 能力を使えばニオベを倒せるんだね?」
僕は鳥面の男の後ろから尋ねた。
「鳥面の男とは失礼ですぞ! 拙者にはトリッキーという素晴らしい名前がありますぞ!」
鳥面の男はどうやらトリッキーという名前らしい。結局名前に“トリ”が付くのかよ......
「分ったよ......トリッキー、能力を使えば倒せるの?」
「もちろんですぞ! 拙者の能力はかなり強力ですぞ! そう、それは姫様にお褒めいただくこと10回以上。『お前が敵でなくて良かった』とおっしゃられた時には......」
僕の質問に対してトリッキーは長そうな自慢話を始めた。
......というか本題の能力について語る気はないのだろうか? どっちにしても策がない以上こいつに賭けてみるとしようか。
「覚醒能力『乙女ゲー主人公』!」
僕がそう呟くとトリッキーは先ほどまでの自慢話が止まった。
「ぶひぃいいいいい! 拙者めを是非とも鞭でぶっ叩いてください!」
能力下になったトリッキーは気持ち悪い鳴き声を発したが、能力を解除するわけにもいかないのでそのまま命令を下す。
「トリッキーの能力を使ってニオベを倒して来て」
「命に代えても!」
トリッキーは僕の命令を聞いてすぐさまニオベに近づく。
「チッ......! まだ邪魔をするのか......お前らはどうせ能力を使えない! さっきあの勇者の話を聞いていなかったのか?」
トリッキーは10本の指をニオベ向けるとその指がすべて光り始める。
「な!? なぜ能力が使える!?」
ニオベは反射的に何かしようとしたように見えたのになぜか左手を挙げた。
「くっ! この能力はまさか脳の伝達指令を別の指令に変える能力か!? 右足を後ろに動かそうとしたのに左手が動いた......だが!」
ニオベは今起きたことを説明してくれた。
女神だけあってどんな能力かは瞬時に分かるようだ......そして何より読者への説明ありがとう!
『固有魔法[オールアブノーマルレジスト]を発動します』
システム音のような声が聞こえた後、すかさずニオベは手に纏わせた光の刃で反撃をしてきた。
「あれは異常状態完全回復魔法!? まさか能力に対しても有効なのか? しかしだとしたらあの鳥め......トリッキーの思惑通りにはいかないかもしれないね」
ユウは驚いたように頭を悩ませていた......やっぱりユウもトリッキーのこと鳥面の男って呼ぼうとしていたから何となく親近感が湧くよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます