第346話 タマの探し人

 ユウはニオベの方をチラチラ見て警戒しているようだ。

 常識的に考えて敵が話をするのを待つのなんてあり得ないもんね......でもさ、この世界でそんな常識は通用しないから安心していいよ?

 結局警戒は解かないままユウは話し始めた。

「えっと......私の知っているマコト君は、190センチの高身長の男で聖剣デュランダルを持っていて、あらゆる魔法を使うことのできる才能を持っているんだ」

 どうやら僕が入れ替わったあの女の子で間違いない......

「そして男同士でいちゃつくいわゆるリアルBLを楽しんでいるんだ」

 いや......僕の勘違いでどうやら別人のようだ。僕の望んだ姿の人物で男同士のいちゃいちゃなんて......

「なるほど......アイネ姫の記憶で見た人物の特徴と一致するのにゃ......でその人は転生前の話とかはしていたかにゃ?」

 タマは考える様子を見せた後、閃いたようにユウに尋ねた。

 一致しないよ? BLなんて設定書いてないからね! 別人だって僕は信じてる!

「転生前の話はよく聞いていないけど、異世界進路希望に乙女ゲームのような世界を書いたのに間違えられてこの世界に来たとか言ってたよ」

 ......ダメだ。否定する要素がない......間違いなくあの時の女の子だ......

「やっと見つけたのにゃ! で、マコトちゃんはどこにいるんだにゃ?」

「マコト君は今......どこに居るか分らないんだ」

 タマの質問にユウは下を俯きながら申し訳なさそうに答えた。

「そうか、それは残念だったな......じゃあ続きを始めようか」

 ニオベはティーカップを手で握りつぶすように砕くと再びメルダリンの首を右手で掴み、左手に光を纏わせて刃を作り額に狙いを定める。

 そうだった! 待っていてくれただけで何1つ状況はよくなっていないんだった!!

「せめて能力が使えれば......あの者を天誅を下せるのに歯がゆいですぞ!」

 鳥面の男が悔しそうに地面を蹴っていた。

 物理攻撃もダメ、魔法もダメだからそれができれば......いや待て能力か! 僕の能力は女神の力の干渉を受けないからもしかすると......

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