第343話 心強い増援

「おのれよくも......よくも姫様を! 成敗してやりますぞ!」

 鳥面の男は激昂しながら立ち上がった。

「まあ待ちなよ。ニオベは女神の力を使って一定範囲内の異世界転移能力をすべて封じている。その上、彼女の周りには完全なる物理無効のバリアが貼られてる。攻撃しても無駄だよ」

 ユウは鳥面の男の腕を掴んで止めた。

「しかし、このまま引き下がったのでは姫様がうかばれませんぞ!」

 鳥面の男は振り返り叫んだ。

「まさか、そんなことを知っている人間がいるとは。だが、知ったところでどうすることもできない......そうだろう?」

 ニオベは余裕があるのか笑みを浮かべてこちらに尋ねてきた。

「ふふっ......そうだね。どうすることもできないな......どうしようかな?」

 言葉と裏腹にユウは余裕の表情を浮かべる。もしかしたら何か策があるのかもしれない。

「その薄ら笑いをやめろ......もっともやめたところで女神を馬鹿にしたでしょう、で死刑は確定しているけどな」

 ニオベは先ほどと同じく光の槍を作り、ユウにそれを向ける。

 ......『女神を馬鹿にしたでしょう』みたいな言い方だと、学校とかでよくある『頑張ったで賞』みたいに褒めるときに使うんじゃないかな? とか考えたけどとても突っ込める雰囲気じゃないので黙っておことにした。

「さあ? それはどうかな?」

 ユウは相変わらず笑ったまま返した。

「なら、死んでから後悔するんだ......がっ!」

 ニオベが光の槍を投げつけようとしたところで、背後からものすごい勢いで何かがニオベを攻撃した。

「油断したな! ニオベ!!」

「貴様......ヘプロスか!」

 メルダリンは巨大な剣でニオベの体を貫いたのだ。

 あと読者の方は忘れているかもしれないから一応解説するけど、ヘプロスというのはメルダリンが女神だった頃の名前ね。

「お姉様! 私たちも助けに来ましたわ!」

 いつも通りの僕のスカートの中を覗くスタイルで登場するアリス......僕から見れば助けに来たというより覗きに来たの間違いじゃないかな? と突っ込みたいけどそんなことをやっている余裕がないからやめておこう。

 僕はこの戦いが終わったら突っ込みをするんだ......と心に決めたのだった......あれ? これ死亡フラグ!?

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