第342話 パパ、ごめんね
「くっ! じゃあ直接攻撃を!」
コトリは能力が効かなかったと判断し、すぐさま蹴りでニオベに攻撃を加えようとする。しかし、ニオベの周りに透明な壁でもあるかのように攻撃が届かない。
「女神である私に攻撃するとは身の程を知れ!」
ニオベは手を前に差し出すとコトリの体が浮き、そのまま後方に吹っ飛ばされ壁にぶつけられた。コトリはそのまま動かなくなってしまった。たぶん気絶したのだろう......
「何が目的だ!?」
マロン姫は必死に奥歯を噛みしめながら睨みつける。
「目的? お前らに説明する意味はないがまあいい......教えてやろう。読者サービス? は必要なのだろうからな。お前を殺せばお前の姉の悔しがらせることができると思ってな。親友のカレンに殺されてもあいつの目は希望の光を失わなかった......なら妹のお前が死んだらどうなるかそれを試してみたいだけだ。もっとも私としてはこの無意味な復讐が終わって、人殺しの妹となってから殺すつもりだったのだがどうやらそれは無理そうだからな」
ニオベは優しいのか優しくないのかよく分らない理由で答えた。
この世界の読者への優しさが異常なのだろうか......僕としてはありがたいんだけどさ!
「じゃあ理由も説明したことで殺します。バイバイ」
ニオベは今までになく笑顔で笑うと左手を振りながら、右手を天に掲げる。するとその右手に槍のような形に光が形成される。
なんだかよく分らないけどあの槍で貫いて殺すつもりか!? マロン姫は足を怪我していて避けるに避けられないじゃないか!?
僕がそんなことを考えているうちにニオベはマロン姫にその槍を投げつける。
「ぐっ!!」
スザクがマロン姫の前に立って光の槍をその体で受け止める。スザクは貫かれた場所から血が溢れ、口からも血を流している......おそらく内臓のいくつかをやられたのだろう。
「チッ......邪魔しやがって!」
今度は数十本の光の槍を出現させもう一度放った。それを見たマロン姫は鳥面の男を突き飛ばした......この攻撃の巻き添えにならないように。
「ひ、姫様!?」
鳥面の男は突き飛ばされながら手を伸ばし叫んだ。そして残されたスザクとマロン姫は体中を光の矢で貫かれて横たわっていた......おそらく致命傷。もう助からないだろう。
「パパ、ごめんね......」
最後の力を振り絞ってマロン姫はスザクの手を握るとそのまま動かなくなった。
「こんなのってないよ......」
僕は目からあふれたものが地面を濡らすのを見ながら呟いた。
「ああ、許せないよね、アイネ君!」
僕は声の方を見ると軽装で剣を腰にさした見知らぬ女の人が立っていた。
「......って誰だよ!?」
「私? 私の名前はユウ! 異世界の勇者だよ。私たちは君たちを助けに来たんだ」
自分で勇者って名乗るとか......何かまた変な人出てきたな......え? 読者の中にはユウを知っている人がいるの?
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