第340話 そいつはオレが倒してやる!

「ところでさっき何が起きたの?」

「なんで当たり前のように私に聞いているんだにゃ?」

 タマはため息をつきながら僕をじと目で見てきた。

「ほらだって『逆因果律』? そんな言葉知らない人多いと思うんだよね。 読者のみんなに説明した方が良くないかな?」

「う......それもそうなのにゃ」

 タマは流れ作業のようにボロボロ布......じゃなくてマチルダの背後から首元にナイフを当てる。

「おい! 当然のようにナイフを突きつけるな!!」

 マチルダは手足をばたつかせて騒ぎだした。

「『逆因果律』って言うのは、通常は原因に対して結果が起こるのに対して、結果が原因より先に起こることにゃ。今の例でいうと通常は銃を撃った(原因)ことでマロン姫に弾が当たる(結果)が起こるのが、マロン姫に弾が当たった後に銃を撃ったことになるのにゃ。つまり、マロン姫は弾が当たった後に回避しているから避けるに避けられなかったそういうことにゃ」

 タマはマチルダの言葉を無視して丁寧に説明してくれた。

 『逆因果律』についてもっと詳しく知りたい読者のみんなはGoogle先生に聞いてみてね。

「マロン、もうお前は足に怪我をしていて能力を使っても体が思うように動かずまともに避けられないだろう? だから......もうやめてくれ」

 スザクは銃をしまってマロン姫に手を差し出した。しかし、その手をマロン姫は振り払った。

「嫌だ......ここでやめてしまったら私の家族の無念をどう晴らせばいいんだ......」

 マロン姫は瞳に憎しみの色を秘めながらスザクを睨みつける。

「姫様! ここは私たちがやる!」

 コトリは腰にさしていた剣を抜いてスザクに斬りかかる。スザクはそれに気づき後ろに飛び退いた。

「姫様はゆっくり休んでくだされ!」

 鳥面の男もマロン姫に立ちはばかった。

「やめろ......お前たちじゃこの男には勝てない!」

 マロン姫は手を延ばして2人を止めようとする。

「そうだ! そいつはオレが倒してやる!」

 マチルダはスザクを指差して宣言した。

 いや......お前が倒すのは絶対に無理だろ!! タマにナイフを突き付けられて倒す倒さない以前の問題でしょ! と突っ込むのすら馬鹿馬鹿しいな......

「チッ......もう終わりですか。ま、クズ女の妹もクズだった......それだけの話でしょうね」

 声の方を見るとブルマ少女......いや、ニオベが優雅にティーカップでお茶を飲んでいたのだ。

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